天文学者は白髪頭か?…19世紀と20世紀(その2)2007年10月05日 22時42分47秒

上は3日前にちょっと触れた、アラベラ・バックレイの『魔法の鏡を通して』。表題ページには「科学のフェアリーランドの続編」と書かれています。

★Arabella B. Buckley
 THROUGH MAGIC GLASSES.
 Appelton, New York, 1890
 234pp, 8vo.

昨日のホークスの本が出る20年前、1890年に出た本で、ホークスと同じ年齢層をねらったものですが、こちらはルネッサンス風の天文博士(16世紀に描かれたティコ・ブラーエ像の敷き写し)を表紙に掲げて、「天文学者=髭を生やした老人」のイメージを前面に出しています。当時はそのほうが子どもにも受けたのでしょうか。

現実の天文学と天文学者がどうであったかはさておき、そこにどういうイコンを持ってくるかは、ストレートにその時代の空気を反映していると思います。現代なら「すばる望遠鏡」、半世紀前ならロケットとお椀型の電波望遠鏡で代表されたものが、19世紀後半にはティコ・ブラーエ像で表象されていたわけです。

当時、一般の人々から見ると、天文学は先端性というよりも歴史性をより感じさせる存在で、そして何となくマジカルな影を引きずっていたのではないでしょうか。

(この項つづく)

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