金色のちひさき月のかたちして ― 2018年02月15日 07時20分09秒
最近、1枚の幻灯スライドを見つけました。
金星の満ち欠けと、見かけの大きさの変化を、1枚の写真に合成したものです。
それにしてもどうでしょう、このスライドの表情ときたら!
ガラス板を包む紺の色紙。
写真を囲む黒地に金の装飾模様。
丸窓に並んで輝く金星3態。
天文モチーフの幻灯スライドは、それこそ星の数ほどあります。でも、これほど完璧なデザイン、完璧なフレーミングのものは少ないでしょう。それ自体が、一個のアート作品のようです。
メーカーは、アメリカのベセラー社(Beseler Lantern Slide Co.)で、時代は19世紀終わり頃。左肩の星マークも洒落ているし、この鋭角的な味わいは、パリでもロンドンでもなく、まさにニューヨークであってほしく、その所在地がマンハッタンのど真ん中、東23丁目131だというのも高ポイントです。(ベセラー社は、今も工業機器メーカーとして存続していますが、会社はペンシルバニアに移転してしまいました。)
このスライド、写真自体は普通のモノクロですが、販売時の商品写真では、背景が灰色がかった青緑に写っていて、それもまたすこぶるカッコよく感じました。
モノクロのスライドも、背景光の選択など、投影の仕方の工夫次第で、その表現の可能性はさらに広がる気がします。
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