森と星2018年05月03日 06時58分27秒

一口にドイツといっても、東西南北でずいぶん気風は違うことでしょう。
でも、こんな絵葉書を見ると、昨日のイギリス人作家が語っていたことにも一理ある気がします。

(「星を愛することを学ぼう!」と呼びかける絵葉書。1930年)

黒くうねる森、その隙間から覗く澄んだ星空。
中央に白く輝くのはかんむり座です。


かんむり座の脇には、球状星団<M13>も載っていて、これが至極まじめな星図であることを示しています。にもかかわらず、こんなふうにわざわざ空を狭く区切って、木々のシルエットをことさら目立たせるのは、「森の民」でなければできない発想です。
…というのは言い過ぎで、単に主役のかんむり座を引き立てる工夫なのでしょうが、でも、この暗い森は、いかにもドイツ的です。

   ★

今の季節、かんむり座が中天高く上るのは、深夜0時前後。
人々が寝静まるころ、森の奥では木々が黙って星を見上げています。

植物に「眼」はありませんが、光を感知する仕組みは備えているので、星の存在だってきっと知っているはずです。ただ、「知る」という言葉の意味合いが、人とはちょっと異なるだけです。