森と星2018年05月03日 06時58分27秒

一口にドイツといっても、東西南北でずいぶん気風は違うことでしょう。
でも、こんな絵葉書を見ると、昨日のイギリス人作家が語っていたことにも一理ある気がします。

(「星を愛することを学ぼう!」と呼びかける絵葉書。1930年)

黒くうねる森、その隙間から覗く澄んだ星空。
中央に白く輝くのはかんむり座です。


かんむり座の脇には、球状星団<M13>も載っていて、これが至極まじめな星図であることを示しています。にもかかわらず、こんなふうにわざわざ空を狭く区切って、木々のシルエットをことさら目立たせるのは、「森の民」でなければできない発想です。
…というのは言い過ぎで、単に主役のかんむり座を引き立てる工夫なのでしょうが、でも、この暗い森は、いかにもドイツ的です。

   ★

今の季節、かんむり座が中天高く上るのは、深夜0時前後。
人々が寝静まるころ、森の奥では木々が黙って星を見上げています。

植物に「眼」はありませんが、光を感知する仕組みは備えているので、星の存在だってきっと知っているはずです。ただ、「知る」という言葉の意味合いが、人とはちょっと異なるだけです。

コメント

_ S.U ― 2018年05月03日 08時52分42秒

あぁ、このデザイン良いですね!
 発想もそうだし、実用的にも、芸術的にも最高、満点です!!

_ 玉青 ― 2018年05月04日 22時30分23秒

これはお目が高い。
そして私は鼻が高いです。
でも、今日の記事のような次第で、ここは辞を低くしてお詫びせねばなりません。。。

_ Nakamori ― 2018年05月05日 09時00分42秒

夜、森の中に動物の調査に出かけて、ふと見上げると樹冠の隙間からたくさんの星が見えて心踊ることがあります。北海道は空が暗いですから、一瞬星座を見失ってしまうほどの星々です。

そのような情景を表現された版画家がいます。ご存じかもしれませんが、星襄一(1913~1979)という木版版画家です。今回ご紹介くださった絵はがきを見て、彼の『星の森』という作品を思い出しました。

_ 玉青 ― 2018年05月07日 07時03分52秒

北の森で振り仰ぐ星…。さぞ壮麗な光景でしょうね。
想像するだけで陶然となります。
星襄一さんのことは存じ上げませんでしたが、ネットで「星の森」、それに「星木立」という作品を拝見して、Nakamoriさんがご覧になったのも、こんな光景なのかな…と空想をめぐらせました。とても美しい着想であり、美しい作品ですね。スキッと透明な感じです。

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