占星の遠き道(後編)2019年02月03日 09時02分48秒

暦占の知識が吹き溜まった、「スターロード」の終着駅・日本。
そのことは、昨日の写本と対になる、もう1冊の写本によく表れています。

(体裁は昨日の『七星九曜十二宮廿八宿等種印言』と同じ。ただし丁数は5丁と、一層薄いです。)

こちらは『知星精』と題する冊子で(書名は「ちせいしょう」または「ちしょうせい」と読むのでしょう)、筆者は同じく江戸時代初期の人、長怡房祐勢。

こちらは、九曜と北斗七星の各星を、木火土金水(もっかどこんすい)の「五行」に当てはめる方式と、それぞれの威徳を解説したものです。


当然、木星は木の精を帯びた存在ですし、火星、土星、金星、水星はそれぞれ火・土・金・水に当てれば良いのですが、そうする太陽と月、それに羅睺と計都が余ってしまいます。これらは、その性質から太陽と羅睺は火精に、月と計都は水精に配当します。また、北斗七星の各星も、それぞれ下図のような配当になるのだそうです。


で、ここに展開されているような、すべての現象は「陰陽五行」の相互作用に因るとする説や、北斗に対する信仰は、純正インド仏教ではなしに、中国起源の思想ですから、これらを仏僧がごっちゃに兼学しているところが、まさに吹き溜まりの吹き溜まりたる所以。(ちなみに、「長怡房祐勢」という名前には、何となくピュアな仏僧ならぬ「修験者」っぽい響きがあって、昨日の写本の大元らしい醍醐寺三宝院が「修験道当山派」の本山であることを考え合わせると、こうした宗教儀式の背景が、いろいろ想像されます。)


北斗の柄杓の口先、おおぐま座α星は別名「貪狼星(たんろうせい)」
「貪狼星は日天子の精なり」とあって、五行の「火」に当たります。解説の方は「日輪は閻浮提一切草木聚林を行き、その性分に随いて増長するを得。経に曰く、日輪はあまねく光明を放ち、大いに饒益をなすと云々。然らばすなわち煩悩の黒雲を払い、法身の慧眼を開く。」…と続きます。

   ★

いずれにしても、この小さな冊子の向こうには、中国、インドへと通じる道があり、さらにその先は、遠くギリシャやメソポタミアまでつながっています。そして、「ふむ、日曜日の午前中からこんなことをノンビリ考えるのも悪くないね」と呟いたそばから、その「日曜」にしろ、「午前」にしろ、やっぱり数千年に及ぶ人類と星のかかわりの中から生まれた言葉だと気づくと、だんだん頭がぼんやりしてきます。

我々は皆すべからく歴史を生きる存在です。

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