りりしい解剖図2008年01月07日 06時39分56秒


■大阪大学教授・高木耕三監修、大阪集画堂発行
 「人体解剖図」(約80×110センチ)

北陸の某高校旧蔵品。昭和35年購入のスタンプが押されています。
全部で7本からなるセット物で、「消化器系及呼吸器系」やら、「感覚器」やら、「骨格系」やら、いろいろな図が含まれています。写真は「内蔵浅部」の図で、シリーズ全体のいわば“表紙”を兼ねています。

肝臓だけ軽く腹腔からあふれさせたところに、動感と立体感を表現しようとした、画工のセンスを感じます。優しい眉と、涼しげな目元をした、よく見れば、なかなかの好青年。頬もピンク色で、全体につやつやしています。

以前の血色の悪い解剖図(http://mononoke.asablo.jp/blog/2006/05/22/374843)とはえらい違いですが、今見たら監修者は同じ人でした。その筋では有名な人なんでしょうか。

 ★

ところで、昨日のヴァチカン天文台の写真は、昔のグラフ誌から採ったんですが、該当号のタイトルは、「天文と解剖-近代の芽生え」というものでした。

奇しくも同じ年 ― 1543年に、この2つの学問領域で革命的な本が出版され、それが近代科学の幕開けを告げた…というのが、編者の編集意図で、その本とは即ち、コペルニクス著 『天球の回転について』 と、ヴェサリウス著 『人体の構造について』 でした。(さらに同年、ラテン語訳 『アルキメデス全集』 が出たことも、技術史において画期的だったと書かれています。)

宇宙と人体をパラレルなものと見る考え方は、時間的にも空間的にも、ずいぶんと広がりのあるものでしょうが、上の事実もちょっと不思議な暗合です。

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