人体解剖掛図2006年05月22日 05時19分50秒

●データ●

大阪大学教授 高木耕三(校閲)/三井鉱山山田川病院長 松井 新(画)
『最新 人体解剖掛図 第三巻 内臓(浅部・深部)』
発行所 株式会社・南山堂(昭和28年)

* * * * *

以前、ヤフーオークションで人体解剖模型が出た際、かなり頑張ったんですが、結局落札できませんでした。小学校の理科室で実際に使われていたものという触れ込みで、とてもいい感じだったんですが…

今でもときどきその模型の立ち姿を部屋の隅に幻視して、「ああ、今あそこにあれが立っていたら…」と想像することがあります。

いずれその願いは果たすつもりですが、今はそれまでの虫やしない(腹の虫を黙らせるための軽食の意也)として、ときどきこの解剖図を壁にかけて眺めています。掛軸状になっていて、全長は約155センチと、かなり大きいです。

血色の悪い皮膚、紫っぽい内臓、黒々とした筆書きの文字。画面全体から発する何ともじめっとした暗い空気が魅力です。(小学生の息子は最初これを見たとき「うぁ!やめてよお父さん!!」と叫びました。まさに思った通りの反応だったのでニヤリ。)

紙背に昭和28年当時の日本の「時代相」をも感じます。

コメント

_ Mika Matsui Tran ― 2011年11月11日 16時38分19秒

この解剖図を描いたのは当時外科医をしていた私の祖父です。その後祖父はレントゲンの事故で両手の指のほとんどを失いましたが、それでも残った指で書いた書や絵はすごかったのを覚えております。最近、私は実家にあった古い写真を修正したりしており、祖父の写真も見つけました。
背が高く、怖い感じの人ですが、実際はものすごく子煩悩な人だったと父から聞きました。

_ 玉青 ― 2011年11月12日 19時00分07秒

おお!おお!
こういう意外な出会いがあると、ブログをやっていて本当に良かったなあと思います。

おじい様の事故のことを伺い、一瞬言葉を失いましたが、しかしそれもまたプロフェッショナルの生きざまなのでしょうね。
1枚の掛け図の向こうにも、人生があり、ドラマがある…
考えてみれば当り前のことですが、改めてそのことに思いを致しました。

(ちなみに、この図を怖がっていた小学生の息子は、今ではもう高校生です。科学部で活動する彼の生き方にも、この図はなにがしかの影響を及ぼしたかもしれません。)

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