ジョバンニが見た世界…大きな星座の図(10)2013年03月06日 20時04分41秒

(昨日のつづき)

(この星図には5等星まで表現されています。1等星は輝く金色。)

この星図、極彩色の星座絵が描かれているわけでもなく、どちらかと言えば地味な表情ですし、星図史においても傍流なのか、星図の解説書で取り上げられているのを見た記憶がありません。しかし、このいぶし銀のような魅力をたたえた大判星図こそ、19世紀後半のスマートな美意識に裏打ちされた傑作であると、今でも信じています。

(石版刷りの繊細な銀河)

この濃紺の星図をバックにしたら、金色の望遠鏡も、アスパラガスの若緑も、きらきら光る宝石類も、さぞ映えるだろうと思うのですが、ただ一つ残念なのは、ジョバンニが目を奪われた肝心要の星座絵が視認しにくいこと。

(星座名は欄外に表記)

それさえなければ、これを時計屋の店先に飾って何の不都合もないのですが、紆余曲折の末に最有力候補はバッカー天球図に決めて、このシリーズはその到着を待って終結にする予定です。