ペーパー・アストロラーベ(2)2010年11月28日 17時24分16秒

このカードは、スペインのAntiquus社の製品で、詳細な解説はそちらにあります(ポスタルカードのページへリンク)。

ここで一口に「アストロラーベ・カード」と呼びましたが、実際にはアストロラーベ、ノクターナル(星時計;恒星の動きで夜間の時刻を知る)、日時計、月齢と干満暦、万年暦という5種の天文機器ないし測定器具をそれぞれデザインしています。

↓アストロラーベ・カード。

二つ折りのカードを開くと、実際のアストロラーベの裏表に対応して、裏面にも目盛りと指針が付いています。

紙細工ですが、ちゃんと部品が可動なところがポイント。

日時計カードは短辺で二つ折になっています。開くと紐でできたノモン(指時針)が張られ、こちらも実際に日時計として機能するようになっています。

内側は中世の写本から取ったらしい絵が、それらしい雰囲気を出しています。

でも、万年暦のカードの挿絵だと、14世紀風の絵に望遠鏡が登場していて「アレ?」と思います。どうも元絵そのままではなく、演出のために切り貼りをしているようです。

   ★

さて、このカード。なかなか気が利いていますが、実際どんな場面で使えばいいんでしょうね?場面と相手を選ばないと、妙な印象を与えかねませんし、まあ自分用に大事に取っておくのが正解でしょうか。

コメント

_ PL ― 2010年12月01日 22時50分46秒

はじめまして
写本の望遠鏡のような道具は11世紀の写本に描かれているものと似ているように思います(下のリンク)。別の本の解説ではStar gazerと書いてありました。
http://www.e-codices.unifr.ch/de/csg/0018/43/small

_ 玉青 ― 2010年12月02日 20時44分50秒

PLさま

はじめまして!ご教示ありがとうございました。
私はこの絵を見た時、17世紀のヘヴェリウスの望遠鏡↓を漠然と連想しました。
http://galileo.rice.edu/images/things/hevelius_telescope.gif
今改めて見ると、左右が反転しているものの、確かに同じ機材のようです。でも、観測者や周囲の人の様子は異なるので、どうもやっぱり切り貼り臭いぞ…と感じます。何だか怪しげな絵です。

さて、上の絵はそれとしても、お教えいただいたリンク先の画像は大層興味深いです。
私は中世の天文学や観測史について全く無知なので、ああいう「望遠鏡もどき」の観測機器の実際を知りません。これはもっと学ばねばいかんなあ…とにわかに思い立ち、以前書評を見てそのままになっていた、『望遠鏡以前の天文学』(恒星社厚生閣)という本を購入、いや図書館で借りて来ようと思います(うう、今は高い本は鬼門でして…涙)。そういえば、あの本の表紙にも、イスラム世界のものらしい「望遠鏡もどき」の絵が載っていますね(↓アマゾン)。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4769910851/ref=ord_cart_shr?ie=UTF8&m=AN1VRQENFRJN5

「望遠鏡もどき」の件で何か見えてきたら、また記事に仕立てたいと思いますが、PLさんの方でも追加情報がありましたら、ぜひお知らせください。どうぞよろしくお願いいたします。<(_ _)>

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