天文古玩

改めて明けましておめでとうございます。
こちらへのコメントで、皆さんから頂戴したコメントへのお返事に替えさせていただきます。

○かすてんさま
いえいえ、こちらこそ。先ほどかすてんさんの方にもコメントしましたが、民俗学や俳句など、渋めの話題も交えながら、大いに絡み合って（笑）いけますことを念じています。

○S.Uさま
近世天文史の話題は、同好会誌の原稿のお余りで結構ですので、また協会の方にも随時ご提供ください。（WEBだよりは9割方完成したところで、公私にわたる年末のゴタゴタで編集がストップしてしまいました。でも、もうじき発送にこぎつけたいです。）

○日文昆さま
メールをありがとうございました。論文、心待ちにしています。昆虫はもとより、博物万般、今年もご教示よろしくお願いいたします。

明けましておめでとうございます。
今年も楽しい話題を楽しみにしております。

　近世天文史　―　年越しの剛立の観測の続報ですが、これはハーシェル関連ネタにはなりそうにないので、ここに書かせていただきます。
　
渡辺敏夫氏の『近世日本科学史と麻田剛立』によると『帰山録』以外の情報として、三浦梅園の孫弟子の帆足万里のそのまた弟子の勝田之徳の『窮理小言』に具体的な数値がでているということです。それには、

「麻田剛立曰、地球亜細亜墨瓦蝋泥加二洲最大其洲中央値最高、故月食時、二洲中央所映処微凸不円、今按亜細亜唐氷山等地最高、若高於海面二十里許、相当十二三秒、此以正映時而言、斜即減少也」

とあり、剛立の数値として、地球の高山（唐氷山はヒマラヤか）は海抜20里もあってよいと考えるならば、月食で観測にかかっても良いかもしれません。80kmの出っ張りなら地球影で30秒角くらいにはなりますので「相当十二三秒」は多少数値があいません。

　次にこの月食がいつの月食かですが、剛立の観測記録「麻田家両食実測」を見るに、1778年以前で、剛立と片岡直次郎の実測が載っている月食で該当しそうなものは、1775年閏12月15日（新暦では1776年２月４日）だけです。これは地球影のほぼ中央を通った皆既食で、特に南極部分が月に斜めかかった現象ではなかったようです。剛立の観測記録はおもに観測数値しか書かれていないので、彼の考えたことはわかりません。

　「墨瓦蝋泥加洲」というのは、現在のオーストラリア大陸を含む仮想的なかなり広い大陸だったので、けっこう南半球の低緯度まで伸びていると思っていたのかもしれません。

新春早々、これは素敵な「初荷」！
どうもありがとうございました。例によって、コメント欄にとどめておいては勿体ないので、記事本編に上げました。事後で恐縮ですが、ご承認いただければ幸いです。

>これはハーシェル関連ネタにはなりそうにないので

そうですねえ、どちらかと云えば「天界」向きの内容かもしれませんね。
でも、ハーシェル協会もハーシェルの話題だけで完結していては、ハーシェルその人を理解するには必ずしも十分ではないので、天文学史（や音楽史）の話題を広く取り上げていきたいと思っています。どうぞワイドな話題提供をお願いします。（協会の掲示板みたいになっていますね・笑）

いえいえ、こちらこそ。緻密な計算と豪快な発想の剛立翁の魅力をお広め下さりありがとうございます。

　今年は、ハーシェル関連のネタとして、さらに天王星の件の続きをまとめたいと思っておりますので、またよろしくお願いいたします。

おお、早々と天王星の話題が続きますね。
大いに楽しみです。どうぞよろしくお願いいたします。