小箱をカタカタ…ささやかな月食2011年12月10日 19時45分04秒

今日は話題の皆既月食。
朝方は快晴でしたが、途中から雲が出てきました。少なからず気がもめます。

   ★

写真↓は、月食の晩にふさわしい玩具。


紙箱の表には、「L’ECLIPSE DE LUNE/JUE DE PATIENCE」と書かれています。
「月食いらいらゲーム」とでも訳せば良いのでしょうか。


ふたを開けると、中には憎らしいほど肉付きのいい月人が、屈託なく微笑んでいます。


この玩具は、この満月のくぼみに、3つの黒いピースをはめ込んで「月食」を起そうという、ゲームというか、一種のパズルです。でも、表面はガラス蓋で覆われているので、手ではめるわけにはいきません。箱をあれこれ揺さぶって、少しずつピースをはめていくのですが、なかなかこれがうまくいきません。まさに Patience(忍耐)という商品名の通りです。

まあ、他愛ないといえば他愛ない品ですが、いかにも呑気で、のどかな時代を思い起こさせます。オリジナルはたぶん19世紀末のフランス製だと思いますが、ここに紹介したのは1984年に西ドイツで出た復刻品。ミュンヘンのFranz-Josef Holler という会社が売り出しました。

   ★

さて、本物の月食のほうはどうなるでしょう。こればかりは、小箱を揺さぶるようなわけにはいかないので、いっそうイライラ・ジリジリしますね。

【付記】
ところで、この外箱の絵。真昼(?)の情景というのも変ですが、天体とそれを覆い隠す影の大きさが同じです。ということは、これは月食ではなくて、日食なのか?

よく見ると、手前の女の子は、煤の付いたガラス板で透かし見ようとしているようです。でも、そうなると今度は、望遠鏡と双眼鏡を手にしたお父さんとお母さんの目玉が心配になります。


【さらに付記】
この品は、min_y 様の「日常と夢の記憶」(http://yumesuke.exblog.jp/16133906/)で拝見して以来、どうしても欲しくて、苦労の末にやっと手に入れました。

コメント

_ S.U ― 2011年12月11日 10時16分19秒

月食、きれいに見えました。は、すでに別の欄のコメントに書いてしまいました。

 楽しそうなパズルですね。1時間くらいはがんばれそうです。
 でも、箱の絵を見ると、これはどうみても日食ですね。父さん母さんの目玉はたいへん危ないです。

 こういうのを見るとついつい詮索してみたくなる性分ですが、これは、1900年5月28日の日食関連の品かもしれません。パリでの最大食分は約0.72で、フランスではおおむね絵のように見られたと推測します。

http://en.wikipedia.org/wiki/Solar_eclipse_of_May_28,_1900

_ S.U ― 2011年12月11日 12時12分02秒

すみません。追加です。
フランスで見た1900年5月28日の日食は、シミュレーションソフト(ステラナビゲータ9)によると、リヨンあたりで16h15mUTにURLの図のように見えたことになります。なお、太陽の視直径は高度方位に対して拡大されています。

タイトルが月食になっているのと、家族3人の観測法が一貫していないのは謎ですが、天体と風景はかなり良く描けています。

_ 玉青 ― 2011年12月11日 22時00分44秒

さっそくお調べいただき、ありがとうございます。
これまた見事な「古天文学」的アプローチですね。
されど愚按ずるに、この絵師は実景を能く写す以前に、何やら根本的に勘違いをしている気配も濃厚なので、その一致は幸運なる偶然によるのやも。

_ S.U ― 2011年12月17日 09時04分17秒

>根本的に勘違い
 確かに根本的な勘違いがありますが、それと日食の景色のリアルさとの落差が気になりました。
 ここは、雑誌か新聞に出た1900年の日食の解説記事を、よくわかっていない画家あるいは編集者がそのまま参考にした、という可能性があるということにしてやってください。

_ 玉青 ― 2011年12月17日 19時30分12秒

あ、なるほど。
手近な資料を、訳も分からずパパッと写したというのは、ありそうですね。
その線で考えることにしましょう。

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