さあ、みんなでハーシェルの天体を見よう2012年01月14日 21時27分15秒

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今日は天文古玩には珍しく、リアル天文趣味の話題です。

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古来、人類の歴史を変えた天文家が幾人かいます。
プトレマイオス、コペルニクス、ケプラー、ガリレオ。あるいは天文家ではないですが、宇宙の理解を飛躍的に高めたニュートンやアインシュタインなど。

イギリスで活動したウィリアム・ハーシェル(1738-1822)も、間違いなくその一人です。

(Sir Frederick William Herschel,  1738-1822)

新惑星・天王星を発見し、赤外線の存在を実証し、太陽系が恒星宇宙の中を疾駆している事実を見出し、銀河系の形状を観測データから明らかにし、膨大な星雲星団の目録を超人的な努力でまとめた人。40歳を過ぎて天文家に転身する前は、優秀なプロの音楽家だったという、その経歴からして、とびきり異色の存在です。

そうした個々の業績も驚くべきものですが、その最大の功績は、この大宇宙(太陽系を超えた遥かな世界)の真の姿について、人類は単なる思弁のみならず、具体的な観測によってもアプローチできることを、身をもって実証したことでしょう。後続の学者たちは皆、このハーシェルがこじ開けた扉を目にしたことで、果敢な挑戦に打って出ようという勇気を与えられたのです。

これは人類の精神史における、一種の革命だと言ってよいのではありますまいか。それまで庇護されるばかりの存在だった幼児が、ある日ふと「自分もやればできるんだ!」と気づいた瞬間…とでも言えばいいでしょうか。

この偉大な天文家を慕う人々は今も多く、イギリスにはウィリアム・ハーシェル協会があり、日本にも日本ハーシェル協会があって、活動を続けています。

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さて、ハーシェルについて熱く語りましたが、私も会員である日本ハーシェル協会では、本年「ハーシェルの天体を見よう2012」というイベントを開催します。会員であってもなくても、世界のどこからでも参加自由という、気軽な催しです。

内容は、今年1年かけて、ハーシェルにちなむ天体を5つ見ようというものです。(そう、たった5つです。これならば、ものぐさな人や、ライトな天文ファンでも十分チャレンジできそうですね。)

そのラインナップは以下のとおり。

1.天王星
2.ハーシェル天体H VII-2(いっかくじゅう座 散開星団 NGC2244)
3.ハーシェル天体H V-24(かみのけ座 銀河 NGC4565)
4.ハーシェルのガーネットスター(ケフェウス座μ星)
5.ハーシェル天体H V-1(ちょうこくしつ座 銀河 NGC253)

街中でも小型望遠鏡があれば十分チャレンジできるものをセレクトしました(一部は双眼鏡でも観測可)。昔、天体望遠鏡を買って、土星の輪っかや木星の縞模様は見たけれど、天王星はまだ見たことがない…という方も多いでしょう。この機会にぜひ挑戦してみてください。
個々の天体に関する情報や、イベントの詳細は、以下の特設ページをご覧ください。


■ハーシェルの天体を見よう 2012
 http://www.d1.dion.ne.jp/~ueharas/hsjsub/herschelwatch2012/

このイベント、参加費や事前エントリーはもちろん不要ですが、「見えた!」「残念、ダメだった」, etc. …のレポートを、日本ハーシェル協会の掲示板にお書き込みいただければ有難いです。偉大なる天文家の追体験を、多くの方といっしょに楽しめればと思います。

なお、この情報について、個人サイト;Twitter;口コミ等で拡散していただければ、これまたありがたいです。どうぞよろしくお願いいたします。

コメント

_ toshi ― 2012年01月15日 00時25分17秒

おお,これが過日語られていた企画ですね.
 リンク先のガイド図拝見しました.ここまでご教示いただければ30年ぶりでも何とかなるかもしれません.
 解体してある望遠鏡を出してみるか,という気に(ちょっとだけ)なりました.ありがとうございます.

_ 玉青 ― 2012年01月15日 08時05分47秒

ええ、ぜひ前向きにご検討ください。
さらに可能でしたら、あのグレゴリー式望遠鏡での観望記も拝見したいですね。
ハーシェルと同時代の望遠鏡で眺めるハーシェルの天体…なんと素敵な夜の散歩!

_ かすてん ― 2012年01月20日 10時53分12秒

私のブログでも案内をアップいたしました。
一人でも多くの方に知っていただけると良いのですが。
http://kasuten.blog81.fc2.com/blog-entry-2069.html

_ 玉青 ― 2012年01月20日 21時50分11秒

ご案内ありがとうございます。
この企画はリアル天文趣味の方に知っていただかないと、ちょっとキビシイものがありますので、かすてんさんのところで告知していただくと、本当に心強いです。
何はともあれ、できるだけ多くの方といっしょに、ハーシェルの後姿を夜空に追ってみたいです。

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