Una notte sul treno della Via Lattea (天の川の列車に乗った夜)2013年10月23日 05時55分59秒

「銀河鉄道の夜」の登場人物は、ジョバンニにしろ、カンパネルラにしろ、なぜイタリアっぽい名前なのか?その答は単純で、「銀河鉄道の夜」にはイタリア語の原作があり、それを翻訳したものだからです。


…なんていうことはあるはずありませんが、最初、このイタリア語版を見たとき、一瞬そんなありうべからざる錯覚におそわれました。何せジョバンニやカンパネルラがイタリア語で会話するのですから、いかにもはまりすぎというか。

(「銀河鉄道の夜」冒頭)

表題作の他、「やまなし」、「注文の多い料理店」、「土神と狐」、「まなづるとダァリア」、「なめとこ山の熊」を収録。

この本の最大の長所は、スキャパレリの本とは違って、読めなくても何が書いてあるのか分かるところです。。。

(裏表紙。「六、銀河ステーション」の一節より。「その天の川の水を、見きわめようとしましたが、はじめはどうしてもそれが、はっきりしませんでした。けれどもだんだん気をつけて見ると、そのきれいな水は、ガラスよりも水素よりもすきとおって、〔…〕声もなくどんどん流れて行き」)


■宮沢賢治(著)、Giorgio Amitrano(編・訳)
 Una notte sul treno della Via Lattea e altri racconti.(銀河鉄道の夜・他)
 Marsilio (Venezia), 第2版 2005(初版 1994), 175p.

コメント

_ S.U ― 2013年10月23日 07時49分14秒

これ、いいですね!
 これを1冊お読みになれば、あとは玉青さんの西欧語の基礎知識と賢治文学へのご造詣だけで、イタリア語に精通されるようになること間違いなしだと思いますよ。

_ とりかわつくね ― 2013年10月23日 23時11分45秒

 “天の川の列車に乗った夜”・・・いい訳ですね。車窓から見えるラピスラズリのような美しい風景とガタゴトと揺れる列車の音が聞こえてくるようです。再翻訳されたのは玉青氏でしょうか?

 時に玉青氏、福岡赤坂にあるギャラリー、Gallery MORYTAにて小林健二氏の展覧会「Witches' Relics - 魔女たちの遺品 - 」が10月19日(土)から11月17日(日)に開催中であることはご存知でしたでしょうか?小林氏による人工結晶やインスタレーションが見られ、また購入することができます。
 私は実は近くに住んでおりますので、何日も通い詰めております(笑)。人工結晶も2つ購入してしまいました。とろりとした飴のような色合いの美しい子達が沢山ひしめきあっておりましたよ。きっと玉青氏もお好きなのではと思いお知らせしました(回し者ではありません・笑)。そして今週の土日にはご本人も来廊されるとの噂・・・
きっと情報通の玉青氏のことですから、もうご存知かもしれませんが。魔女と結晶のひしめく空間にてお待ちしております。

_ 玉青 ― 2013年10月24日 06時31分42秒

〇S.Uさま

「のだめカンタービレ」で、主人公が自分の好きなアニメのフランス語版を凝視してフランス語をマスターしたというエピソードを思い出します。
まあ、漫画のようなわけにはなかなかいかないでしょうが…。

〇とりかわつくねさま

至極散文的に再翻訳したのは私です。(笑)

ときにお知らせどうもありがとうございました。
誰かにチラッと聞いた気もしますが、正式なイベント名は知りませんでした。
さっそく手元で検索して、その片鱗に触れましたが、これは素敵な催しですね!
会場内の詳しい様子はネット上で見られなかったので(どこかで見られるでしょうか?)、知りたければ行くしかないのでしょうが、福岡は距離の壁があって、ひょいと行けないのが残念です。近くだったら絶対行くのですが…
出来得れば、つくねさんの続報に期待しています。

_ S.U ― 2013年10月24日 07時49分11秒

では、のだめの証明をかねてやってみようかと思います。私はフランス語を含めラテン系はすべてできない(挫折した)ので初期条件が悪いです。

 「土神と狐」が収録されているのは意外に思いました。西洋人にあっては、「こんなひねくれた根性の神様は信じられない。考えただけで気分が悪い」でほり投げられてしまうと困りますが、それでも自身の内心につまされて土神に共感するものがあるんでしょうか。西洋かぶれの狐が始めからあわれに見えてOKになるのかもしれません。

_ 玉青 ― 2013年10月24日 18時16分27秒

おお、S.Uさんの実験者魂に脱帽です。(^J^)
「のだめ式」の検証実験の結果報告をお待ちしています。

>「土神と狐」

たしかに不思議な選択ですね。「やまなし」が入っているのも大いに不思議です。
イタリアの人にとっては ― 少なくとも編者のアミトラーノさんにとっては、「雨ニモマケズ」の賢治像よりも、シュールで幻想味豊かな、そして人の心の深淵を覗き込むような作品をものした賢治の方が、よりアピールするものがあったのでしょうね。(公平に見れば、至極真っ当な評価だと思います。)

_ S.U ― 2013年10月24日 20時20分14秒

>「のだめ式」
 カンタービレはイタリア語だそうですから、通用することもあるでしょう。

>シュールで幻想味豊かな、そして人の心の深淵を覗き込むような
 あっ、きっとそれですね。イタリア人は日本風のハードでポップでシュールな漫画キャラが好きなようですね。土神もけっこうその手のキャラです。

_ とりかわつくね ― 2013年10月29日 01時09分04秒

>会場内の詳しい様子はネット上で見られなかったので(どこかで見られるでしょうか?)、知りたければ行くしかないのでしょうが、福岡は距離の壁があって、ひょいと行けないのが残念です。近くだったら絶対行くのですが…

そうですねえ、会場内の写真はまだアップされていないようですので、実際に行くしかないでしょうね。ですがDMだけでしたらギャラリーにメールを送れば送ってもらえるはずですので、記念にいかがでしょう。小林健二氏の魔女観の分かる詩を読むことができますよ。写真も文も一枚でかなりボリュームがありましたので、それだけでも楽しめるかと思います。

>出来得れば、つくねさんの続報に期待しています。

 宣伝のようになってしまい恐縮ですが、購入した結晶作品を我が家にお迎えした暁には写真とレポート記事を私のサイトのブログにアップしたいと思いますので、それでお伝えできればとても嬉しく思います。

_ 玉青 ― 2013年10月30日 05時56分34秒

DMも…ですが、ここはやっぱり、つくねさんのレポートに期待しています!

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