ヴンダーカンマー作り入門 ― 2016年01月07日 06時20分16秒
前々回の述懐(=生の自然と触れ合い、書斎にもその息吹を通わせたい)と、話がつながるのかどうかよく分かりませんが、人工物と自然物への好奇心が交錯する「ヴンダーカンマー」の在り方を考えることは、この話題を考えるきっかけにはなりそうです。
それについて、最近面白い記事を目にしたので、ここで参照しておきます。
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シカゴ在住の「Lady Salt」こと、スタイリストが本業のバーバラ・リンさんが、ご自分のブログ「Carnivale Salt」に、「気になる 『珍品キャビネット』: 自分だけのヴンダーカンマー作り入門」という記事を書かれています(3年ちょっと前の記事です)。
■Curious about Curiosity Cabinets: How to start your own Wunderkammer.
http://carnivalesalt.blogspot.jp/2012/10/curious-about-curiosity-cabinets-how-to.html
http://carnivalesalt.blogspot.jp/2012/10/curious-about-curiosity-cabinets-how-to.html
この記事はいろいろな点で興味深いのですが、私の所感を書き付ける前に、一通りいつもの適当訳で内容を一瞥しておきます(勝手訳ですが、ぜひバーバラさんのお目こぼしを頂けますように…)。なお、文章の切れ目の目じるしに、縮小した元画像を貼っておきますが、キャプションは省略しました。
------------------(引用ここから)------------------
蒐集行為は、多様な形態をとりうる趣味ですが、自慢の珍品を「珍品キャビネット(Curiosity Cabinets)」という形で示すことは、コレクションの展示法として、またご自分の興味と美学をビジュアルに伝える方法として、究極のものです。珍品キャビネット、あるいはドイツ語の原語で言えば「ヴンダーカンマー」は、豊かな歴史を持ち、個人のコレクションを展示する方法として、何世紀にもわたって人気を博してきました。
ステップ1: キャビネットを手に入れる
珍品コレクション一般に、それが100パーセント必要というわけではありませんが、ご自分の珍品キャビネットに素敵な趣を添え、事実上その印象を決定づけるものといえば、言うまでもなくキャビネットです。適当な展示ケースを見つけることは、それ自体宝探しのようなものですが、お金をかける気さえあれば、可能な選択肢はたくさんあります。家具の品揃えが豊富なディスカウントショップに行けば、たいてい目的にかなうカップボードや食器棚が見つかるでしょう。もちろんebayにはいつでも(しばしばかなり高価ですが)アンティークの薬品棚が売りに出ています。
もし予算が限られているなら、本棚を利用するのも手です。やり方はいくらでもあります。でも、展示法はコレクションそのものと同じぐらい重要であることを、常に忘れずにいてください。ですから、ご自分の心にピンと来るものをしっかり選ぶようにしましょう。あると便利なのは光源です。絶対に必要というわけではありませんが、コレクションにスポットライトが当たったら素敵でしょう。
ステップ2: コレクションを始める
伝統的に、珍品キャビネットは、自然物と人工物の組み合わせから構成されていました。蒐集家は、ウミウチワや貝殻を、ギリシャ彫刻の石膏模型の横に並べたり、時には、神話上の動物が実在することを「証明」するために作られた、明らかな偽物(たとえば「エデンの園の蛇の皮のかけら」など)と並べたりすることもありました。これらのコレクションは、一応教育的なものと考えられていましたが、その真の目的は、見る者をギョッとさせ、世界に対する興味を掻き立てることにありました。
理性の時代の幕開けと共に、コレクションの配列法は科学的方法論に基づいたものが主となり、研究のための分類体系に分化し始めました。最終的にヴンダーカンマーは、近代的な自然史博物館や美術館へと進化を遂げ、芸術品や人工物は自然物の標本から分離され、いかさま物や神話的な品は一切お払い箱となったのです。
現代の珍品キャビネットは、多くの点で、北方ルネサンス期のオリジナルのヴンダーカンマーを想起させます。今日見られる個人コレクションの多くは、整然とした科学的研究を目指すのではなく、個人の美意識と興味関心を表現し、好奇心と驚異の念をそそる品を展示するためのものです。現代のコレクションは、伝統的ないかなる規範にもしばられることがありません。不思議なカラクリ仕掛け、芸術作品、人形、散歩のときに見つけた物たち、都会のごみ、キャットフードの残り…何もかもが自由です。
蒐集にまつわるこうした考え方は、とてもエキサイティングなものですが、コレクションを始めることを、ひるませもするでしょう。ワードローブを充実させるのと同様、もしご自分の思想と美学を明確に伝えたいなら、コレクションにもはっきりとしたテーマを与えるべきです。コレクションのテーマを絞ったり、蒐集対象を少数の特定分野の品に限定することは良いアイデアです。
ひとたびコレクションの基礎が固まれば、そこからコレクション作りが始まります。思い浮かぶテーマとしては、博物学(昆虫コレクション、鳥の剥製、動物の骨格標本など)、医学用品、葬儀にまつわる品、あるいは宗教的工芸品などがあります。これらの品に、何か個人的意義が備わっていることが理想ですが、単にカッコいいと思えるだけの品…という場合もあるでしょう。
珍品キャビネットは、ご自宅のインテリアの中心となるものですから、もし同居のパートナーやご家族がいる場合、蒐集プランについて彼らとよく話し合うことです。私と彼氏の場合、ふたりとも珍品コレクション作りに積極的でしたが、事前に次の合意を取り交わしていました。一つは人間の遺骸や壜詰め標本、死に関するエフェメラは集めないこと。これは彼の希望にもとづくものです。もう一つは黒魔術や悪魔召喚に関する物は集めないこと。これは私の希望にもとづくものです。私たちは、博物関連の手工品、医療器具、それに宗教的な品々に範囲を限定することで、意見が一致しました。
もし予算が限られているなら、あるいはコレクションの方向性を決めかねているなら、お気に入りの小物たちでヴンダーカンマーを構成するというのも、全然ありです。好奇心の対象は、高価なものや、希少なものである必要はありません。あなたにとって特別なものであれば、美しいものでなくたって良いのです。おそらく、珍品キャビネットが持つ最も重要な機能は、ご自分にとって情緒的価値がある品を保管し、その価値を高めることにあります。そうした品々を、抽斗の中にしまいっぱなしにするのではなく、いつでも見える所に置き、絶えず思いを新たにするとともに、対象への誇りを感じることこそ、その役割なのです。
ステップ3: 珍品蒐集のためのあれこれ
さあ、あなたのコレクションが、本格的な珍品キャビネットへと変身する準備は整いました。以下に掲げるのは、皆さんが必要とされる物や、欲しいと思われる物を入手できる場所と、アイデアを得たり、調べ事の参考にしたり、同好の士を得るのに役立つリンク集です。今のところアメリカ国内の情報しかありませんが、もし他にご存知でしたら、ぜひお気軽にコメントをお寄せください。リストに加えたいと思います。では良い蒐集を!!
〔以下、ヴンダー系のお店や博物館にリンクが張られていますが、省略します。〕
------------------(引用ここまで)------------------
ここには、私がずっとモヤモヤしていたことが明快に書かれていました。
それは…
それは…
(この項つづく)
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