流星の夜2020年08月13日 06時52分30秒

ゆうべ夜中に目が覚めて、ふと「流れ星が見えるかな」と、寝室のブラインドを上げました。そのまま寝床に寝そべって、四角く切り取られた小さな空を、ガラス越しにじいっと見ていました。

月がやけに明るく、薄雲も広がっていましたが、雲間から明るい星がチラチラ見えていたので、はずみでひょいと見えるんじゃないか…と、かすかに期待したんですが、小半時のうちに流星は見えませんでした。

ときどき視界のすみを、光点がひょいと動くんですが、それは「そらし目」――光に鋭敏な周辺視野――に映った星が、眼球運動によってブレただけらしく、いわば私の願望が生み出した“偽りの流星”なのでした。

しかし、流星は見えなくとも、下弦の月が指し示す地平線下の太陽と、その周囲を旋回する彗星(スイフト・タットル彗星)を思い、我々の地球は今、宇宙空間を旅しながら、彼が残したダスト・トレイルに突入したんだな…と想像するのは、なかなか豪壮味のある経験で、寝苦しさをいっとき忘れました。

(古城を照らす下弦の月。フランス・シュノンソー城の古絵葉書。1910年ごろ)

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流星こそ見えなかったものの、そのとき確かに私の感覚を捉えたものがあります。
リーリーと鳴く、コオロギの声です。
そういえばすでに先週、暦は立秋を迎えていたのでしたね。

秋が来たと目にはっきり見えるわけではありませんが、虫の声にぞ驚かれぬる…というわけで、熱帯夜にも秋の兆しは明瞭でした。

涼を期待すると同時に、ちょっと寂しいものが混じります。