天文古玩の世界への招待(4)…古書 ― 2006年01月31日 06時10分19秒
古書収集は非常にポピュラーな趣味だ。ビンテージ本マニアは、お宝本を求めて古本市やオークションをあさり、ブック・ベアー書店(マサチューセッツ州ウェストブルックフィールド)やワットリー古書センターのような貴重書・絶版本を置く店を駆け巡る。彼らはインターネット上でも、eBayを覗いたり、bibliofind や abebooks のような本のデータベースにあたって、古書を探し求める。
宇宙の見え方が現代とは全く異なった時代、そうした古き時代との精神的きずなを与えてくれるが故に、コレクターは古い天文学書をむさぼるように探すのである。
アンティークな科学機器と同様に、昔の本にも芸術的美しさを持ったものがある。装丁はしばしば素晴らしい装飾革でなされたし、本文には木版や銅版の挿絵(手彩色されたものもある)が入っていた。
最近の掘り出し物の中で、とりわけ興味深く思った一品は、1839年に出たJ.P.ニコルの『宇宙の構造』("Architecture of the Heavens" by J. P. Nichol)だ。この本は元々ルーファス・チョートの個人蔵書の一部だったものである。彼はマサチューセッツのホイッグ党創設者であり、1830年から1834年までは米国下院議員、1841年にはダニエル・ウェブスターの後任として上院議員に選出された。彼の蔵書は約8千冊からなる。この本の表紙裏にはチョートからアンナ・カボット嬢に宛てた手紙(本と一緒に贈られたもの)が糊付けされている。また手紙と反対側のページには、ヘンリー・カボット・ロッジの名前の入った蔵書票が付いている。
(この項続く)
(写真はイメージです。)
最近のコメント