よみがえる理科室の黄金時代…カタログ発見(3)2008年01月24日 21時59分13秒


天体望遠鏡の項。五藤製の懐かしい機種が並んでいます。

1955年は、糸川博士のペンシルロケットが飛んだ年。2年後にはスプートニクが地球の周りを回りました。

当時は、米ソの宇宙開発競争に端を発する天文ブームがまき起きる前夜にあたります。日本の光学メーカーは、対米輸出でけっこう潤っていたと思いますが、国内では天体望遠鏡はまだまだ高級品。当時の小中学生にとっては遠い憧れの品で、学校備品の望遠鏡に、熱い視線を注いだ天文少年・少女も多かったことでしょう。

公務員の初任給が9千円の時代ということを念頭において、価格を見てください。

 ★  ★

ところで、昨日の「誘導起電機」の記事と見比べていただくと分かりますが、望遠鏡の方は五藤光学やら、日本精光やら、メーカー名が明記されているのに、誘導起電機の方は「A」とか「B」とかあるだけで、具体的なメーカー名がありません。実は、このカタログを見て気づくのは、モノによってデータの記載方法がばらばらなことです。

いろいろ理由はあるんでしょうが、その理由の一端は、流通・販売経路の複雑さだと思います。製造から販売まで自社で一貫して行なっていれば話は簡単ですが、一方には販売専門業者がおり、他方には製造専門業者がおり、その中間形態もあり…というわけで、例えばA社が製造した品を、代理店Bでは甲、代理店Cでは乙というブランドで販売していた場合、これをどういう形で掲載するか、いろいろ揉めたこともあったんじゃないでしょうか。そうした苦労もあって、この出版企画はわずか1年で頓挫したのだと想像します。

(この項つづく)

コメント

_ mistletoe ― 2008年01月25日 13時45分28秒

こんにちは。
望遠鏡も良いですね。糸川博士のペンシルロケット。
その後のスプートニク。ワクワクしますね。
当時の初任給の3分の1の価格ですね。
でもそれだけに憧れるってステキ。
今の子供達には無い感覚かもしれませんね。

本、早速注文しました!有難うございました。

_ 玉青 ― 2008年01月25日 21時28分40秒

1955年、アインシュタイン死去。1957年、渋谷の五島プラネタリウム開館。そんな話題もあった頃ですね。良くも悪くも、光と闇の対照がくっきりとした時代だったように思います。

(例の本、私も便乗して1冊注文しました!)

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