そそる本(2) ― 2008年10月26日 19時14分40秒
(昨日の続き)
違和感があるのは当然です。これは徹頭徹尾読めない本なのですから。
ワッペン模様の周囲に書かれた謎の亀甲文字。あれは英語でもラテン語でもありません。
著者のサイラス・エヴァンスという名前で、ははーんと思われた方もいるでしょうが、この本はウェールズ語で書かれた天文学書なのでした。序文によれば(ここだけはアーサー・ミーという人が英語で書いています)、この本はウェールズ語で初めて書かれた、真に分かりやすい天文学入門書だそうです。
Seryddiaeth a Seryddwr という書名(ワッペン模様に書かれているのがそれです)からして、そもそも何と発音すればいいのか分かりませんが、意味は『天文学と天文家』だそうです。
紙面をパッと見ると、一瞬読めるような気がします。でも、目をこらすと何1つ分かりません。ハングルもそんな感じですね。読めそうで読めない。こういうのを俗に「そそる」と申すとか。(…下らん話ですみません。)
ウェールズ語はケルト語の分派で、ケルトというと妖異とか異界の連想が働いて、それと天文学を取り合わせたところに一種の香気が生じるような気がします。不思議な文字の羅列の向こうに、何か遠い未知の世界が広がっているような…。もちろん、それは私の一方的な思い入れに過ぎませんが。
(上の挿絵の原画はこちら。http://mononoke.asablo.jp/blog/2006/03/30/308998)
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