とんがり帽子とマント2009年05月15日 22時05分08秒

(A Trip to the Moon の冒頭、大勢の天文学者たちが集う場面)

SBODさんにコメントをいただいて思い出したのですが、George Méliès(1861-1938)のフィルム作品で、前に「The Eclipse」(1907)というのを取り上げたことがあります(http://mononoke.asablo.jp/blog/2006/08/18/488268)。どうも3年前も同じようなことを書いていて、我ながら進歩がないんですが、まあ「多年にわたり問題意識を温め続けている」ことにしておきましょう。

ところで、以前の記事で引用した動画は、もうリンクが切れているので、改めてYouTubeでメリエスを検索すると、ああ、いっぱい出てきますね。「The Eclipse」も「A Trip to the Moon」(1902)もみんなアップされてます。
http://www.youtube.com/results?search_type=&search_query=Georges+Melies+&aq=f

メリエスの主要作品は、ほぼ100年前、20世紀の初頭に作られていますが、彼はどこからあの「変な天文学者」のイメージを持ってきたんでしょうか。メリエスはもともとステージ・マジシャンであり、また劇場経営者でもあったそうなので、舞台で演じられたコメディの影響なども相当あるのでは…と想像します。その実際を知らないので、完全に想像ですが。

で、想像のついでに言うと、特定の職業のカリカチュアライズには、演劇という要素が最も大きな影響を及ぼしたのではないか?と、今書きながら思いつきました。舞台化されると、遠目にも人物の属性が分かるように、その種の記号化・様式化が一気に進むのは、能や京劇、イタリアのコメディア・デラルテなんかを見てもそうですね。

『天文学者の社会史』 とか 『総説/美術・文学・演劇に見る天文学者像の変遷史』 というのは、たぶん民明書房(!)ぐらいしか手掛けてないと思いますが、もしあったら是非読んでみたいです。
(ここで「天文学」ではなしに、あえて「天文学者」というところがミソ。)

コメント

_ S.U ― 2009年05月15日 23時14分11秒

「天文学者像の変遷史」というのは確かに見てみたい話題です。
 ところで、時代の変遷は別にして、肖像に見る歴代の大天文学者の服装や容貌は、八の字ひげと光り物のティコ・ブラーエさんも、優雅にマントと鬘を垂らしたG.カッシーニさんも、暗い部屋で白髪を振り乱す晩年のジョン・ハーシェルさんも、演劇演出家の期待にたがわぬ迫力だと思います。

_ 玉青 ― 2009年05月16日 10時08分06秒

1つ前の記事で、

>19世紀はもちろん、18世紀の人もこんな「ナリ」の人を生で見たことはないはずですが

と書きましたが、17世紀までさかのぼると、結構それっぽい人が出てきますね。ずるずるマントを引きずって、魔法使いじみたオーラを出している人が。

ヘヴェリウスの本に出てくる人(↓)も、かなりいい雰囲気ですが、ただ、とんがり帽子の人は…。本当にいたんでしょうか?

http://www.windows.ucar.edu/tour/link=/mythology/images/astronomer_jpg_image.html

時にS.Uさんに業務連絡。
お願いしたいことがありますので、一度メールを頂けないでしょうか。(アドレス帳もすべてとんでしまい、こちらから連絡を差し上げることができません・苦)。

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