ムードン天文台の謎(前編)2013年10月30日 05時46分38秒

足穂といえば、このブログを始めて間もない頃、1枚の絵葉書を彼に手向けたことがあります。

ムードン天文台…タルホ頌
 http://mononoke.asablo.jp/blog/2006/07/29/465091

(画像拡大できるようにして再掲)

自分の拙い文章を引用すると、「1876年、パリ近郊に完成したムードン天文台。〔…〕天文台の大ドームをかすめて飛ぶ複葉機。見た瞬間、「タルホだ!」と思いました。星とヒコーキを愛した怪人、足穂への捧げ物」…という次第で記事を書いたのでした。

ここまでは何の変哲もない話。
堂々たる天文台と複葉機の取り合わせは、今見ても普通にカッコいい気がします。

   ★

その後ムードン天文台の別の絵葉書を手にしました。


ステッキを後ろ手に持った男性、ロングスカートにパラソルのご婦人、セーラー服の男の子、髪を編んだ愛らしい少女…。明るく晴れた休日、天文台の前庭を散策する家族連れは、まるで印象派の絵のようです。

しかし、その微笑ましい気分も束の間、
「あれ?天文ドームは高い建物の屋上にあるんじゃなかったっけ?」
という疑問が頭をかすめました。

皆さんは、上の2枚の絵葉書を脳内で整合させることができますか?
私はかなり長いこと、この点がモヤモヤしていました。

(後編に続く)

コメント

_ ohgoe ― 2013年10月30日 22時53分07秒

いつも楽しく拝見しながら玉青さんの博識に圧倒されています。

それぞれのドームの横に付いている、三角屋根の下の部分の形状が違っていますので、これらのドームは別のもののように思われます。
ムードン天文台には、上の絵はがきのように建物の屋上にある大ドームが1つと、下の絵はがきのような地面にじかに建っている小ドームが3つほどあるのではなかったでしょうか。

_ さゆ ― 2013年10月31日 07時22分39秒

ヴンダーという言葉をこちらで初めて知りました。

不思議なモノたちやくらくらくる小宇宙たちやニヤッとなる古い絵葉書、そして玉青さんのお話をいつも楽しみにしています。

えーと、この二つのドームはドームとそれが接続する建屋の部分の比率
がまったく違いますね。別の建物ということかな・・・。

ヒントがなかったら同じムードンの文字があったら同じドームだと思って
しまいますよね。

検索してみたら、この一枚目の写真の建物は、傾斜地に建てられてるんですね。表は屋上、裏はドームとレベルの土地が広がっているみたいです。(しておいてなんですが、検索というのは無粋なものだと思えました…)

二枚目はドームの高さが低いし、これはデザイン合わせなだけの建物で、望遠鏡は入っていなさそうな気がします。

_ 玉青 ― 2013年10月31日 20時34分54秒

○ohgoeさま

いつも駄法螺;にお付き合いいただき、ありがとうございます。
ムードン天文台に関する御推理、後半は明察、さて前半は…というわけで、今日の記事に続きます。。。

○さゆさま

いやあ、早々と正解に到達されてしまいましたねぇ。(^J^)
(ただ1枚目と2枚目はやっぱり同じ建物のようです。)

ときに、さゆさんも「不思議なもの」「奇なるもの」がお好きなようですね。
十年一日のまことに変化に乏しい拙ブログですが、同じヴンダーの徒として、今後もどうぞよろしくお願いいたします。

_ geomet ― 2013年11月01日 05時23分34秒

お題の「謎」と無関係なコメントで恐縮ですが・・・2枚目の写真を見て、足穂の「矢車菊」という作品を連想しました。矢車菊はいわゆる足穂主系列からはちょっと外れた、しかし芸術的香気に満ちた小品で私は大好きです。写真は特にどんぴしゃのイメージというわけでもないのですが、1枚目の足穂的世界に続けて2枚目の貴婦人達の優雅で楽しげな風情を眺めていると、あの作品の、あるいはあれを書いた足穂の、時代と憧れと切なさが思い起こされてちょっと胸がきゅんとなりました。

_ 玉青 ― 2013年11月02日 06時51分50秒

5月の朝、目覚めの前に一瞬咲いた夢。
絵葉書の光景も5月の頃合いかもしれませんね。そして今こうして眺めていると、なんだか遠い夢の中の光景のようでもあります。あるいは我々の方が、彼らの見ている夢なのかもしれませんが…

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