天文雑誌に見る1950年代(1)2014年10月18日 17時41分59秒

現今の世相を「暴支膺懲(ぼうしおうちょう)」論の喧しかった戦前にたとえる人もいます。でも、むしろ「攘夷!」を叫んだ幕末に似てはいないでしょうか。
あの頃も、威勢がいいだけで空疎な発言が、大いにもてはやされました。

最近、自分のことを、天保時代や、さらに昔の文化・文政の頃を懐かしむ、幕末の老人のようだと感じることがあります。

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1950年代…といえば、昭和30年(1955)を中心とする前後10年間です。
こんなふうに、年号に置き換えた方がスムーズに理解できるのは、昭和生まれでも、ある程度以上の年齢の方でしょうが、私もどちらかといえば、「昭和○○年」の方にリアリティを感じる口です。まだ占領下だった昭和25年、太陽族の昭和30年、皇太子成婚と安保で揺れた昭和34年…。

まあ、私もまだ生まれてなかったので、そう偉そうなことは言えませんが、でも、わりと近い時代の空気を吸ったおかげで、その頃の雰囲気を、ある種の皮膚感覚を伴って想像することができます。

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その頃の日本の天文界の様子を知る、貴重な資料が届きました。
福岡県の是澤清一氏より「ご入用ならば」ということで、当方にご恵贈いただいたものです(この場を借りて、改めてお礼申し上げます)。

(1948年完成のパロマ―望遠鏡は、まさに同時代の存在)

届いたのは、地人書館が出していた「天文と気象」誌(1984年に「月刊天文」と改題、2006年以降は休刊中)で、一部欠号もありますが、その最初期の1949年3・4月合併号から1959年1月号に至るまで、まさに50年代がぎっしり。
何といっても、学会誌を除けば、天文趣味をテーマにした商業誌として、「天文と気象」は日本で最も古いメディアですから、これは貴重です。

これまで、1960年代の「天文と気象」は、バラで何冊か持っていましたが、1950年代の同誌は未体験ゾーンで、しかも、これだけまとまると圧巻。当時の天文趣味の生の姿、そしてアマチュア天文家の息吹に触れる思いです。

さらにその宝の山の中に、貴重な上にも貴重なものが含まれていました。
「天文と気象」誌を取り上げる前に、この特筆大書すべきものについて触れておきます。

(もったいぶりつつ、この項つづく)

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