「星を売る店」のドアを開ける(6)…玩具の王国「風車」編2015年06月29日 07時19分38秒

 この汽車は以前扱っていたおもちゃの一つでございますが、このエントツヘ星を入れると汽笛がひびいて車輪が廻り出すことは、きのうやっとわたくしが発見したのでございます。同じりくつで風車も廻るわけですが、このためにはどこへ星を置くべきかがまだ見当がつきかねているわけでございます。見当さえつきましたら、風車だって何だって廻るに相違ありません。

「星店」の店員の口上は実になめらかで、星の効能を滔々と弁じ続けます。
しかし、星を使って風車を回す方法は、まだ彼にもよく分かっていないようで、ちょっと口ごもり気味です。

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さて、ここに出てくる風車。
普通に考えれば、カラフルなブリキ細工か何かで、これまたドイツ製なのだろうと思います。そして実際、そういう品は探せばいろいろ見つかります。

しかし、ここで私の目に留まったのは、以下のような風車でした。


何となく朽ち、歪んだ、怪しいシルエット。
普通に撮ると逆光で黒くなってしまいますが、寝かせた状態で撮るとこんな↓表情です。

(大きさは、台座から風車の羽の先まで約26cm)

いかにも“ザ・シャビー”な、青黒く古びを帯びた、鉄板細工のウィンドミル。
梯子を使って上がる水車小屋の足元、向かって左側は水タンク、右側は草木を表現しているようです。

「星店」再現に当っての基本はリアリズムで、時代や国をそれなりに考慮して進めているのですが、この風車については、「星店」に満ちた青のイメージにかなう点、そして何よりも風車そのものの存在感に勝てませんでした。たぶんタルホ氏もこれなら許してくれるだろう…と勝手に言い訳して、「星店」に並べることにします。


それにこの風車。店員はまだ気づいていませんが、この水タンクに「星」を入れると、ひとりでに風車が回り、しかも静かな音楽を奏でるという不思議を見せてくれます。


…といっても、そこにはちゃんとタネがあって、この風車の羽は、実はゼンマイのネジを兼ねています。あらかじめ羽をグルグル回してやれば、水車小屋に仕組まれたオルゴールが鳴り、羽自体も回転を始めるというわけです。

(オルゴール本体は日本のサンキョー社製)

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この風車はカリフォルニアの人から買いました。
古色が存分に出ていますが、パーツを見る限り、時代的にはわりと新しいものでしょう。作り手を示す表示が一切なく、素性は不明ですが、オブジェ作家さんの手作り品かなと思います。

(この項つづく)