船乗りと旅人は星図を携えて2016年01月02日 08時59分23秒

年末に書いたように、天文航法で海を越える船乗りには、星の知識が欠かせません。
雲の上を飛ぶ飛行機乗りや、森や平原を進む旅人もそうです。
そんな人向けに出された星図。


■Julius Bortfeldt(編著)
 Stern-Karten für Seeleute und Reisende sowie alle Freunde des  
 Sternenhimmels.
 『船乗りと旅人のための星図 ― そしてすべての星を愛する人のために』
 L. v. Vangerow (Bremenhaven)、1899



表紙はほぼ新書版のコンパクトなサイズですが、中身は折り畳み式になっていて、広げると47×72cmほどの大きさになります。

星図自体は、天の赤道を中心に赤緯±50°の範囲を描いた長方形の星図と、南北両極を中心とした2つの円形星図から成る尋常のものですが、船乗りと旅人向けを謳うだけあって、


あちこちに船のイラストがちりばめられ、


北極のシロクマや、熱帯のジャングルまでもが描かれています。


左右の表は、主要な恒星の赤経・赤緯一覧。


編著者の序文は、1800年代最後の年の年頭に書かれています。

 1899年1月5日、ブレーメンハーフェン。
 ラーン号の船上にて。
 二等航海士 ボルトフェルト

ブレーメンハーフェンはブレーメン州の港湾市です。著者のボルトフェルトは、ここからニューヨークまで就航していた「ラーン号」に乗り組む生粋の船乗りで、専門の天文学者ではありません。

(月の大西洋をゆくラーン号。1899年の消印が押された絵葉書。
http://static0.akpool.de/images/cards/72/720397.jpg

   ★

船尽くしの記事を、まずは新春の宝船代わりに。
それにしても、この真っ青な星図からは、本当に潮風が匂い立つようで、見ているうちに爽やかな気分になります。

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