2023年の空に向かって2022年10月23日 12時38分18秒

名古屋市科学館で開かれていた、「ウィリアム・ハーシェル没後200年記念展」が先週で終わり、その撤収作業がありました。その際、「そういえば、来年はプラネタリウム100周年だそうですね」という話になりました。

現代のプラネタリウムの元祖である、ツァイス社の投影式プラネタリウムが誕生したのが1923年で、来年でちょうど100年。名古屋市科学館でも、それを記念する企画が進行中とのことで、今から楽しみです。のみならず、国際プラネタリウム協会(IPS)を中心に、世界中で関連の催しがあるのだとか。

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YouTubeに荒井由実さんの「雨の街を」がアップされているのに気付きました。

 夜明けの雨はミルク色
 静かな街に ささやきながら 降りて来る 妖精たちよ
 誰かやさしくわたしの肩を抱いてくれたら
 どこまでも遠いところへ 歩いてゆけそう

…で始まる、静かな、心の深いところにしみる曲です。
この曲のファンは多いと思いますが、私はこの曲を聞くと、あるひとつの情景が繰り返し浮かんできます。

The Alqueva´s Dawn sky © Miguel Claro)

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来年はプラネタリウム100周年。
そしてあの出来事から20年。

2003年4月26日の夜明けの空に向かって、一羽の蝶が静かに飛び立ちました。
その蝶が普通とちょっと違ったのは、八本の脚をもっていたことです。

■二階堂奥歯 『八本脚の蝶』

私には彼女のいう「恐怖」がどれほどのものだったかは分かりません。
そして、彼女は震えながら、長い間それに抗った末に、ひとつの選択をしました。

夜空の底に青がにじみ、星明りも徐々に消え、やがてブドウ色になる頃。
そのとき彼女の目に見えていた景色が、私には何となく荒井由実さんの歌と重なって感じられるのです。もちろん、それは私の勝手な思い入れに過ぎません。でも、その世界があくまでも透明であったことを強く願います。

『八本脚の蝶』は、彼女が自死した直後にネットで話題となり、時を隔てて文庫にもなりました。彼女の問いかけは、今も多くの人の心に、一種の宿題を残していると思います。

我ながらいかにも唐突な記事だと思いますが、いろいろなことが重なって、私の中で急にひとつの像を結んだので、文字にしておきます。

空を見上げて宿題の答を探す日々は、これからも続くことでしょう。

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