ファーブルの本(2)… 『昆虫記』 挿絵入り決定版 第1巻 (1914)2007年03月04日 14時05分53秒


ファーブルが昆虫記の初版を出したのは1879年。
彼は既に50代半ばを越えていましたが、衰えを知らぬ彼は、さらに1907年までかけて、昆虫記全10巻を完成させます。彼としては、さらに第11巻にとりかかる気でいたのですが、さすがに気力が続きませんでした。

この時期、彼は最初の妻と死別し、六十過ぎで40歳年下の女性と再婚して、さらに子どもを3人もうけています。いやらしい意味ではなしに、やはり生物学的な精力と精神的な活動力は、密接な関係があるのでしょう。

さて、その後、ファーブルは昆虫記の「決定版」を世に送ることを決意し、息子のポールが撮影した昆虫写真をのせた『昆虫記・挿絵入り決定版』の刊行にとりかかります。そして、現在はこれが昆虫記の定本ということになっています。

写真はその第1巻。(今回買ったのは第1巻だけ。なお、1879年に出た『昆虫記』の初版は、相当な稀本らしく、探しても遂に見つかりませんでした。たぶん見つかっても私の手には届かない価格でしょう。)

この「決定版」が完結したのはファーブルの没後だいぶ経ってから(1924年頃)ですが、第1巻は1914年に出ているので、ぎりぎりファーブルの目に触れたことになります。ファーブル最晩年の、その集大成がこの本なのです。

■DATA■
 Souvenirs Entomologiques. (Premiére Série). Édition Définitive Illustrée.
 Paris, Delagrave, 1914.
 Royal 8vo. 377pp.

体裁はフランス装の仮綴本。貧しげな風情の中にも、アルマス・ファーブル博物館が所蔵する、本物の初版本に通じる雰囲気があります。

※「ふらんす紀行」
 http://www.g-hopper.ne.jp/free/fukuda/toybox/france/fr-index.htm
 というサイト中、↓のページで、その書影を見ることができます。
 http://www.g-hopper.ne.jp/free/fukuda/toybox/france/fr-fm-2.htm
 (いちばん下のほう)

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