星の寺院…ウィーン大学天文台の場合2009年02月04日 10時12分00秒

(上掲書、p.107)

昨日の本からさらに類例を挙げます。
1874年完成のウィーン大学天文台。

設計者は異なりますが、一見してベルリン天文台との構造的類似は明らかです。
ただし、大きさはいっそう大きく、東西の差し渡しは330フィート(100メートル)、南北は240フィート(73メートル)もあります。ベルリン天文台の長辺は、約37メートルですから、その3倍近くある計算です。(なお、図中のスケールは、目盛りが間違っているようです。)

この天文台については、以前絵葉書で紹介したことがあります(今回画像を張り替えて、拡大できるようにしました)。
 http://mononoke.asablo.jp/blog/2006/10/07/

教会建築との類似は当時もすでに触れましたが、さっきまで忘れてました。何かいい加減ですね。公式サイト(http://astro.univie.ac.at/)には、上空からの写真も載っています。

改めて見てみると、これぞまさに「星の大聖堂」と呼ぶにふさわしい、堂々たる体躯ですね。当時、天文台に求められたのは、単なる「機能」ではなく、一種の「想念」「ファンタジー」であったことを強く感じます。まあ、その中で働く研究者と、時代一般の空気がどこまで一致していたかは、別に考えないといけない問題でしょうが…。

交差部をはじめ、翼廊端や身廊奥にドームが連なる姿は、ちょっとヴェネツィアのサン・マルコ寺院を思わせます(↓ウィキメディア・コモンズより)。
 http://commons.wikimedia.org/wiki/File:Basilica_di_San_Marco_I.jpg

となると、ここにビザンチン様式の影響も思い浮かぶのですが、19世紀後半のウィーンは、まさに建築の実験場のごとく、多彩な様式が試みられたらしいので、その辺も何か分かると面白いと思います。が、今のところは単なる夢想です。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック