タルホの匣…第6夜、ゴールデンバット2010年04月08日 20時13分17秒

「人間のこしらえたもののなかで、先ずタバコと
酒が一等良く出来ているのではないか。」
       (稲垣足穂、「わたしの耽美主義」)

「マッチ、タバコ、発条、インキ壷、歯車、映画の
フィルム、ビール壜、鉄砲の玉、懐中時計、総て
こうしたものは、それを只じっと眺めているだけ
でも変な気がして、一種の夢と哲学が感じられる。
殊に紙巻煙草の小函には折々おどろくべき閃き
が認められるが、その手近なものにゴールデン
バットがある。わたし達はあの紙箱の意匠にある
金蝙蝠を別に賞めはしないけれど、決して俗な
ものではないと思っている。」      (同)

  ★

シガレットケースに、あにシガレットなかるべけんや。
マッチに続いて、今宵は「主役」の登場です。

ゴールデンバットは明治39年に発売され、現在も売られているという超ロングセラー。
上の写真に写っているのは定価7銭の表示があるので、大正14年~昭和11年に販売されたもののようです。

何度見てもカッコいいデザインですが、このデザインにも幾多の変遷があったらしく、それをまとめたサイトがありました。

■懐かしい日本のタバコ歴史博物館③
 http://www.lsando.com/oldcigarette/oldcigarette3.htm

  ★

遺憾ながら、私自身はタバコを全くやらないので、紫煙の美学は皆目分かりません。
足穂氏からすれば、人間の風上にも置けない奴かもしれません。