ある夜、お父さんが語ったかもしれないこと2013年08月01日 20時17分37秒

星って知ってるかい?
写真や絵なら知ってるよね。
でも、夜になると、ちゃんと空に光っている本物の星を見たこと、あるかな?
ああ、見たことあるんだ。偉いね。
何が偉いかって?何もなさそうな空でも、きちんと見上げるところが偉いよ。

で、いくつ見えたかな?
雲がないのに、1つも見えない時もあるよね。
よく探せば、2つ、3つ、4つぐらいは見つかるかな。
パッと見上げて、10個も見えたら、「今日はすごい星空だ」って、キミは思うんじゃないかな。

そう、それがキミたちが生きている、今の世界なんだよね。
星なんて、ちょっとしか見えないし、みんな星のことなんて気にもしてないし、夜空を見上げる人なんて、めったにいないもんね。

でもね、昔は空一面に星が見えたんだよ。
昔話って、何だかウソみたいに聞こえるけど、これはウソじゃない。
本当に空一面に、ザラザラ星が光ってたんだ。

そういう話って、キミたちにはどう聞こえるんだろう?
「昔の人は毛皮を着て、ヤリで狩りをしていた」とか、
「昔の日本の兵隊は、飛行機でアメリカの軍艦に体当たりした」とか、
何だかそんな話と同じように聞こえるのかな。

いくら「これは本当のことなんだ」と言っても、どこか本当じゃないような気がするんじゃないかな。さみしいことだけど、人間ていうのは、そういう風にできているらしいね。
自分で見ないと分からないことって、いっぱいあるけど、いつか本当にザラザラと星が光る空を見たら、「あ、やっぱりウソじゃなかった」って分かるよね。


そのときは、少し考えてほしいな。
毎日、空一面の星を見て暮らしていた昔の人たちに、「いつか、夜になっても星が見えない時代が来るよ」と言っても、きっと信じてもらえないだろうということを。

そのうえ、「その頃には夜になっても、地面にはいつでも影ができるし、全然昼間と変わらないんだよ。そして高い所に上ると、星よりもずっと明るい光が。足もと一面に、海のように広がっているんだよ」なんて言ったら、はたしてなんて思うだろうね。

どっちがいい時代なんだろう。
今の方が便利には違いないけど、大きな、大きなものが見えなくなったのは、何だか良くないような気もする。

あはは、何だかお父さんも、何が言いたいのか分からなくなってきたよ。
こんどの晴れた晩に、星が1つでも見えたら、またいっしょに考えてみようか。

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…というようなことを、子どもが小さい頃に、もっと話しておくべきだったかと、ふと思いました。でも、それはお父さんの単なる自己満足で、子どもはアクビをかみ殺しているかもしれず、なかなか子育てとは難しいものです。

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さて、天体議会の話題も、その他の話題も、まだまだ続きますが、
明日からしばらく留守にするので、次回の更新は週明けになります。
みなさま、よい週末を。