宇宙は何から出来ているか(2)2015年11月23日 10時36分09秒

(昨日のつづき)

はたして宇宙は何から構成されているのか?
それを考えるヒントに、1枚の絵葉書を見てみます。

下の絵葉書は、巨人望遠鏡を備えたベルリンのトレプトウ天文台を描いたもので、1900年前後の多色石版画です。(同天文台については http://mononoke.asablo.jp/blog/2007/06/18/ を参照。)


そして、ここにほぼ完璧な「宇宙」が存在するのです。
すなわち「宇宙」とは…


点綴する恒星彗星土星


そして、望遠鏡から構成されているのです。

   ★

何が言いたかったかというと、要は人々が「宇宙」と聞いて思い浮かべるイメージは何によって表されるのか?…というテーマを以前から考えていて、その主な要素は上の5つであろうというのが、私の結論です。

もちろんそこにはヴァリアントもあって、彗星が流星に置き換わる場合も多いし(市井の人々にとって、両者は常に交換可能なイメージです)、また五大要素のいくつかが脱落したり、さらに渦巻銀河や、宇宙から眺めた地球を加えて七大要素とする説もありますが(嘘)、いずれにしても、人々のイメージする「宇宙」は、驚くほど少数の要素から出来ていることは確かだと思います。

(渦巻銀河が「宇宙」の表象となった早い例。カミーユ・フラマリオンの『アストロノミー・ポピュレール』 表紙、1880年)

こういうのを、いろいろな時代や国で比較対照したら面白かろうと思うのですが、もうどこかで誰かがやっているかもしれません。

コメント

_ S.U ― 2015年11月23日 12時48分14秒

あっ、この試み面白いですね。私もやってみたいです。
 どうやら、私も月、土星、彗星、恒星の4つのように思います。望遠鏡は必ずしも無くてもかまわないですけど、5つにするなら、望遠鏡あるいはロケット、銀河(天の川か渦巻き銀河のどちらでも可)、近くの惑星として金星か火星、このあたりから選ぶことになるでしょうか。(ロケット、金星、火星が出てくるのは、世代的に冷戦時代を引きずっているかもしれません。)

 ところで、宇宙は「物理的に」何でできているかという問いだとすると、昔の人は四大元素とか五行とか答えたでしょうし、現代人なら電子、陽子、中性子、光子と答えることでしょう。(クォーク、ニュートリノ、ダークマターなども重要かもしれませんが、直接視覚に関わる物としては、先の4つでほぼ足りていると思います。)

 いずれにしても、「宇宙は、4つか5つか6つくらいのものからできている」というのは、古今東西、文化縦断的普遍的な大法則と言えるのではないでしょうか。

_ 蛍以下 ― 2015年11月23日 19時30分29秒

世代的な差異のひとつかもしれませんが、私の場合、物心ついた頃には宇宙を舞台にした子供向けアニメが山ほどあったせいか、未だに「宇宙といえば、巨大ロボット、宇宙船(ミレニアム・ファルコン含む)」といったイメージになります。それらを別にすると、太陽系、カラフルな星雲、恒星、隕石、宇宙人あたりです。

_ 玉青 ― 2015年11月24日 06時35分37秒

S.Uさま、蛍以下さま

宇宙イメージも人それぞれですね。
とはいえ、19世紀から現代にいたるまでの宇宙論の巨大な進展に比べ、こと宇宙イメージに関して人は意外に保守的で、そのこと自体興味深いです。おそらくアニメの影響もかなり限定的でしょう。というか、アニメこそ古風な宇宙イメージの再生産に大いに寄与しているのかもしれません。まあ、世間ではいまだに彗星と流星が同じくくりになるぐらいですから、それもむべなるかな…という気はします。

_ 蛍以下 ― 2015年11月25日 02時40分48秒

玉青様

アニメも世間に合わせて作られますから、限定的な宇宙イメージの枠外には出られないのでしょうね。そして、それらを観て更にイメージの固定化が補強されるわけですね。
そういえば「銀河鉄道999」や「キャプテンハーロック」などに顕著ですが、「フロンティアとしての宇宙」というイメージもありますね。

_ 玉青 ― 2015年11月25日 06時49分35秒

ええ、ありますね。スペース・オペラとくくられる作品群はおしなべてそうですね。旅・夢・冒険、そして主人公の成長・獲得・達成のストーリー。あれこそ、中世の騎士物語や、さらに古代の神話にまでさかのぼる、人類の集合的無意識の発露と呼ぶべきもので、今は宇宙がそうした舞台として選好されているのでしょう。ある意味、人間は常にフロンティアを必要とする存在なのだと思います。

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