アトラス出現2017年09月13日 23時47分19秒

ネットで古い星図帳を探そうという段になると、「celestial atlas」や、それに類する検索語を入力して探すわけですが、そうすると古代のアトラス神の像が頻繁にヒットして、ノイズになります。

まあ、アトラス像そのものは、天文趣味の守り神みたいなものですから、それ自体は別にかまわないのですが、ただ出てくるのが、


こんな人とか、


こんな人とか、今出来のマスプロ製品ばかりなので、アトラス像はちょっと鬼門でした。

   ★

でも、先日こんな真鍮のアトラス像を見つけました。


台座を除く高さが15cm の、かわいらしい像です。


これにしたって、19世紀の品ですから――ベルギーの売り手はそう主張しています――格別古いわけではありません。ただ、造形がいかにも古朴で、金の月星を散らした濃紺の天球も洒落ているし、何と言っても場所をとらないのが大きな魅力でした。


ベルギーの人が述べるように、この台座はおそらく後補。像の足下から延びるネジを切った金属棒は、台座中央の穴に挿してあるだけで、像と台座は固定されていません。

想像ですが、この像は元々独立した彫像として制作されたのではなしに、何か別の用途(建物や細工物のデコレーション)に使われていたのを取り外して、後からこんな風に一本立ちさせたのではないでしょうか。


独立した像と見るには、細部がちょっと雑過ぎるのも、そう考える理由です。 

   ★

そんなわけで、ちょっと曰くつきの像ではありますが、世界を支えるこの小さな巨人の存在によって、今いる部屋に一本芯が通ったような気がします。

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