月明かりの道化師 ― 2017年10月24日 20時54分54秒
ゆうべの仕事帰り、くっきりした三日月が、紫紺の空に浮かんでいるのが見えました。そして西の地平線上に、黒々とした雲が、まるで山並みのようにそびえ、なんだか自分が、見知らぬ山国の町を歩いているような、不思議な気分になりました。
月を眺めて、思いを癒やし、そして思いを凝らす――。
本当に月は良き隣人です。
★
月を描いた紙物を物色していると、ときどき「月にピエロ」の画題に出会います。
(月にピエロのトランプ。eBayの商品写真を寸借)
あれは歴史的にいろいろな意味合いがあると思うのですが、その一つのイメージ源が、フランス古謡の「月の光に(Au clair de la lune)」であるらしいことに気づきました。その愛らしい歌は、例えば下のリンク先で聞くことができます。
そして、
Au clair de la lune,
Mon ami Pierrot,
Prête-moi ta plume
Pour écrire un mot.
月の光に、
わが友ピエロ、
君のペンを貸しておくれ、
一言書きとめるために。
Mon ami Pierrot,
Prête-moi ta plume
Pour écrire un mot.
月の光に、
わが友ピエロ、
君のペンを貸しておくれ、
一言書きとめるために。
…で始まる歌詞とその訳は、すべてウィキペディア『月の光に』に掲載されています。
歌全体の流れでいうと、ピエロは単なるダシで、その後に続く恋の成就こそ眼目なのですが、心優しきピエロがさりげなく恋人を導くところに、ピエロという存在の真価(と孤独)はあるのでしょう。
★
その『月の光に』の、ちっちゃな手回し式オルゴール。
この月の絵の箱は、売り手がインクジェットプリンタで作った間に合わせのもので、肝心なのはこちらの本体です。
心がささくれ立っているときなど、暗い部屋でこのオルゴールを静かに回すと、ちょっと気持ちが優しくなれる気がします。
コメント
_ ルドガー ― 2017年10月25日 10時59分43秒
_ S.U ― 2017年10月25日 17時56分38秒
あっ、この曲知っています。幼年のピアノ入門用の練習曲集によく載っていました。歌えるように訳詞も書いてありましたが忘れました。ドイツの曲かと思っていました。
_ 玉青 ― 2017年10月25日 22時25分35秒
やあ、これはルドガーさんに先を越されましたね。(^J^)
ルドガーさんのお手元にあるのとまさに同じカードを、これから取り上げる予定でいたのですよ。まあ、その辺はどうぞお目こぼしください。
しかし、今日の記事で書いたように、月は優しいばかりでなく、ときに狂気を誘う剣呑なものでもありますね。そこがまた魅力なのでしょう。
ルドガーさんのお手元にあるのとまさに同じカードを、これから取り上げる予定でいたのですよ。まあ、その辺はどうぞお目こぼしください。
しかし、今日の記事で書いたように、月は優しいばかりでなく、ときに狂気を誘う剣呑なものでもありますね。そこがまた魅力なのでしょう。
_ 玉青 ― 2017年10月26日 07時26分45秒
〇ルドガーさま
コメントを拝見し、てっきり同じカードと思ったのですが、さっきカードを取り出したら、どうやら別物のようです(手元のカードは、絵葉書よりも小さなサイズで、ボンマルシェのものでもありませんでした)。…というわけで、前言はあっさり撤回し、再度のお目こぼしを願います。
〇S.Uさま
え、S.Uさんはピアノ少年だったのですか。
山野で自然に親しんでおられたイメージを抱いていたので、少しく意外の感を催しました。
コメントを拝見し、てっきり同じカードと思ったのですが、さっきカードを取り出したら、どうやら別物のようです(手元のカードは、絵葉書よりも小さなサイズで、ボンマルシェのものでもありませんでした)。…というわけで、前言はあっさり撤回し、再度のお目こぼしを願います。
〇S.Uさま
え、S.Uさんはピアノ少年だったのですか。
山野で自然に親しんでおられたイメージを抱いていたので、少しく意外の感を催しました。
_ S.U ― 2017年10月26日 18時35分19秒
>ピアノ少年
もちろんそんな柄ではないのでご安心を(笑)。近所の人に教えてもらって練習しましたけど、素質がなく小学生のあいだでやめました。でも、今でも、ウィキペディアの『月の光に』にある絵本の楽譜くらいなら、我が家の電子ピアノで完璧に弾けると思います(半日くらい練習すれば両手で(笑))。
小さいときの性格は、野外志向というより屋内志向でしたが、当時の田舎は、3人以上で遊ぶには野外しかないんですよね。商店街も子ども向け施設もありませんし。2人だったら将棋とか野球盤とかできますけど。環境のしからしむるところでした。でも、おかげで、動植物や天文気象に関心が持てるようになってよかったです。
もちろんそんな柄ではないのでご安心を(笑)。近所の人に教えてもらって練習しましたけど、素質がなく小学生のあいだでやめました。でも、今でも、ウィキペディアの『月の光に』にある絵本の楽譜くらいなら、我が家の電子ピアノで完璧に弾けると思います(半日くらい練習すれば両手で(笑))。
小さいときの性格は、野外志向というより屋内志向でしたが、当時の田舎は、3人以上で遊ぶには野外しかないんですよね。商店街も子ども向け施設もありませんし。2人だったら将棋とか野球盤とかできますけど。環境のしからしむるところでした。でも、おかげで、動植物や天文気象に関心が持てるようになってよかったです。
_ 玉青 ― 2017年10月27日 21時16分55秒
安心しました(笑)。
それでも、その心得がおありなのは羨ましいです。
ピアノは大人になってからでも習えるかもしれませんが、
でも、子供の時だけ体験しうる要素もきっとあるでしょうね。
それでも、その心得がおありなのは羨ましいです。
ピアノは大人になってからでも習えるかもしれませんが、
でも、子供の時だけ体験しうる要素もきっとあるでしょうね。
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絵葉書に書かれた詩が「月の光に」というタイトルだと知った時は、20世紀フランスの作曲家ドビュッシーの「ベルガマスク組曲」の中の有名なピアノ曲「月の光」だと勘違いしたのですが、違ったようですね。
この「月の光」の元々のタイトルが「感傷的な散歩道」だったと知りました。19世紀でも21世紀でも、フランスでも日本でも、月は多くの人々の心を癒し、混沌とした心を静めるものなのだと思います。