時空を超えた天文玩具 ― 2018年05月29日 21時35分29秒
(昨日のつづき)
たとえ岩が強固で念力が通じなくても、そこは窮すれば通ず、です。
昨日のゲームと全く同じものは見つからなかったものの、その後の探求過程で、その「そっくりさん」を見つけました。
手元にあるのはボードだけで、外箱や付属品はありません。
ご覧のとおり、デザインはオリジナルとまったく同じです。しかし、金彩や手彩色、リネンの裏打ちといった優雅さはありません。こちらは平板な印刷物を、二つ折りの厚紙ボードに貼り付けてあります。
(スクリーントーンのような網点が見えますが、オフセットではなく石版印刷です)
いささか安手な仕上がりになっているのは、時代がオリジナルを下ることおよそ半世紀、1890年の製品だからでしょう。(年代については、ゲームマニア向けのサイトに記載がありました。)
(ボードを二つ折りにしたところ)
オリジナルは、「Sonne Mond und Sterne(太陽・月・星)」という、わりと素っ気ない名前でしたが、そっくりさんの方は、その名も「アフェリオン」と改め、海を越えたイギリスで売り出されました。発売元のF.H. Ayers は、ボードゲームやロッキング・ホースで知られた、イギリスの老舗玩具メーカーです。
この素朴な天文ゲームが、時と空間を超えて人々に愛されたことに、ちょっとした驚きを感じます。でも、素朴とはいえ、「アフェリオン」とは天文用語の「遠日点」(惑星等がその軌道上、太陽から最も遠ざかる位置)の意ですから、名前だけはいっそう天文づいています。
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時空を超えたそっくりさんの存在も驚きですが、そのそっくりさんを手繰り寄せた、我が念力もまた恐るべきものではないか…と、恨み言で始まった記事を、自画自賛で締めくくるのは、まあ目出度くも罪のない話です。
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