不思議な青い空2019年07月10日 06時33分46秒



高山の星空を写した幻灯スライド(19世紀末の英国製)。


写真に撮ってから初めて気が付きましたが、山上に光るのはオリオン座ですね。
深青の空に白い星が点々と浮かんでいる光景は、空気の澄み切った、夜明け前の一刻を思わせます。もちろん、この空は手彩色で、星も後から描き加えたものなので、これは実景ではありません。

さて、これはどこの山かな?と思って書かれた文字を読むと、そもそもこの山からして、実在の山ではありません。


「Model of Mountains on the Moon」、すなわち月の山脈モデル

これは石膏で作られた、月面の地形をかたどった模型を写真に撮ったものです。
それをまた夜景化して幻灯で映写するとなると、虚像の虚像の、そのまた虚像ということになって、何が何だかわけが分からないですが、19世紀の人は、それほどまでに月面の光景に憧れたのでしょう。

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この月の山の石膏モデルは、イギリスの富裕なアマチュア天文家、ジェームズ・ナスミス(James Nasmyth、1808-1890)が制作したもので、彼が作った各種の月面模型は当時大きな評判を呼び、同時代の天文学書には、しばしばその絵や写真が載っています。その現物のいくつかは、現在、ロンドンの科学博物館に収蔵されている由。

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月に大気がないことは当時も分かっていました。月の空は昼でも真っ暗だし、そこに太陽だけがギラリと光っていることも理解されていました。

それなのに、このスライドの作り手は、なぜ月の上空を青く染めてしまったのか?
そこが解せないところですが、何せ虚像の虚像の、そのまた虚像です。そこに「あり得ない空色」が加わることによって、画面はいっそう謎を帯び、そこがまた魅力的でもあります。何だか夢の中で見る光景のようです。

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