余滴2020年01月04日 15時34分06秒

「鵜飼」は、殺生禁断の川でこっそり鮎漁をした漁師が、仲間になぶり殺しにされた末、地獄で責め苦を受ける…というのが前段。後段では、旅の僧の供養によって漁師が無事成仏を遂げたことが語られ、法華経の功徳を讃嘆する内容になっています。

その前段で漁師が責め殺されるシーン。
物陰で待ち構えていた人々が、漁師の前にいっせいに姿を見せ、激情に駆られて絶叫します。「狙う人々なっと寄り。一殺多生の理にまかせ。彼を殺せと言いあへり。」

このとき人々が口にした「一殺多生(いっせつたしょう)」の論理。
「一人を殺すことで、他の多くの存在が助かるのだ」というのは、何となく素朴な常識に叶うところがあって、実際そういう行動を支持する人は少なくありません。

何を隠そう、私の中にもそういう考えが生まれる時があります。
でも、それが間違っていることも同時に感じ取れます。
その主張は「理」をうたいながらも、実際には「処罰感情」やら何やらの「情」に過ぎないことが多く、じっくり考えるとどこかが破綻しているからです。

   ★

正月早々、きな臭いニュースが聞こえてきます。
対米従属国家たる日本にとって、遠い国のことでは全くありません。
いろいろ訳知り顔で解説する人もいますが、結局のところ「一殺多生の理」を出ない解説が多いように思います。

今回殺害されたソレイマニという人が、言われるように非道な蛮将であったにしろ、アメリカのやり口は、それに劣らず無茶苦茶です。そもそも他国の領内で、他国の要人をしれっと殺害する国家を、ならず者国家と呼ばずして、一体何と呼ぶべきか?

少なくとも、人道的立場からソレイマニを非難する人は、同じ論理でトランプを非難しないと、首尾が整わないと思います。

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