されど4分2020年01月07日 06時37分36秒

そういえば、以前妙な時計を買いました。



ご覧のとおり詳細な星座早見盤を組み込んだ、なかなか星ごころに富んだ時計なんですが、要は中国で作られた、アストロデア(シチズン)の‘ぱちもん’です。

(左がアストロデア。アストロデアのことは、こちらから3回シリーズで書きました。)

これのどこが妙かというと、その星座盤のつくりです。
この星座盤はただの見かけ倒しではなく、確かに自動でゆっくり回転しており、そこは立派なのですが、その回転周期は、実際の星空の23時間56分ではなく、24時間ちょっきりです。

これだと何か月経っても夜空の景色は変わらず、同じ星空を眺め続けなければいけません。そのため、星座盤の位置をときどき手動で調整しなさい…という指示が、説明書には書かれています。

何だか変だなあと思います。
購入する側も釈然としないし、作り手側の意識としても、不全感が残るんじゃないでしょうか。いかにも作り切ったという感じがありません。とはいえ、背に腹は代えられず、きっとこの4分差を組み込むと、コストがえらくかかるのでしょう。

たかが4分、されど4分。

繰り返しになりますが、この4分の差は、地球の公転が生み出しているものです。
この1日たった4分の「努力」が、つもりつもって季節の変化を生み、頭上では星座が移ろい、地上では雪合戦をしたり、スイカ割りをしたりすることになるわけですから、ましてや1日5分も努力すれば、腹筋が割れたり、英語が話せるようになったり、資格試験を突破できるのは当然だ…と主張する人がいるのも、うなずけます。

たかが4分、されど4分。
そのことを問わず語りに教えてくれるのが、この時計のいわば「徳」なのかもしれません。

(購入時の商品写真)