世界を青色に染める2023年06月16日 06時28分01秒

カール・ツァイスにちなんで、ちょっと素敵だなと思った品。
ツァイス傘下のカメラメーカー「ツァイス・イコン」製、27ミリ径カメラレンズ用青色フィルターです。


銀の枠にはめ込まれた青いガラス。
あのツァイスの光学パーツか…と思って眺めると、いっそう美しいものに感じられます。

これはカメラ用レンズフィルターですが、これをわれわれ自身の光学系――水気の多い透明なたんぱく質を素材とする水晶体と硝子体――の前に置くこともできます。たったそれだけのことで、この世界は青一色に染まり、われわれはいつだって深い水底に身を潜めることができるのです。


この外箱の表情がまたいいですね。


この素朴なヴィンテージ感と、ブルーフィルターの鋭角的な美の組み合わせに、曰く言い難い魅力を感じます。

   ★

カール・ツァイスは戦後のドイツ分断で東西に別れましたが、子会社のツァイス・イコンも同様の運命をたどり、この品は「西側」のツァイス・イコン(シュトゥットガルト)製です。


小さな青ガラスの向こうに、大きな歴史ドラマも透けて見えるような気がします。

コメント

_ S.U ― 2023年06月18日 09時11分13秒

美しい青色ですね。透明人間の話ではありませんが、カラーフィルムがなかった時代に色鮮やかなフィルタが大活躍したというのも逆説的で面白いと思います。逆に言うと、RGB三色分解が簡単にできるカラーデジカメの時代には基本的に不要なものと言えるでしょう。色鮮やかなフィルターがどういうときに使われたのか一応思い出しておきたいと思います。以下、黒白フィルムの時代の話に限ります。記憶間違いがあればご指摘ください。

 確か、赤フィルターは、赤外線写真やそれ以外の一般写真でも強いコントラストで撮る時に使ったと思います。私も天体用に持っていましたが、バーナードループなど赤い星雲を撮るには長時間追尾の根性が必要なので、あまり使うことはありませんでした。一般には、蒸気機関車などの写真で白黒のコントラストで勝負していた人は、赤、橙、黄の3色をセットで使い分けていたと思います。
 青フィルターは、私の記憶に違いがなければ、タングステンの照明が明るい宴会場などで(まさに燭光という単位が物語るような)、人や料理などを撮る時に、コントラストが強くなりすぎないようにするために使われたと思います。

_ 玉青 ― 2023年06月18日 09時37分42秒

ご教示ありがとうございます。
昔も今もカメラ趣味がないので、記事にしているわりに、こういうのはさっぱりなので、大いに助かりました。

>青フィルター

おお、水底から見つめる華燭の宴!
…と、ここは美しくまとめておきましょう。

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