「スカイ・アンド・テレスコープ」誌のこと <おまけ>2007年11月16日 06時13分55秒


ところで、Sky & Telescope の日本版がかつて出たという話を読んだことがあります。

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〔1950年〕 11月30日

 アメリカの天文雑誌「スカイ・アンド・テレスコープ」の日本語版というのが発刊された。「スカイ・アンド・テレスコープ」は、アメリカの数少ないアマチュア向けの天文雑誌で、私どもも大変愛読しているものであるが、京大工学部教授で天体写真家でもあった藤波重次が日本語版の権利を取得して編集発行したものである。京都市の三一書房が発行所となっているが、現在ある東京の三一書房とは関係ない。礼文島の金環食写真の記事などが中心に構成されているが、最近のように天文熱が盛んでなかったため、時期尚早で気の毒にも一号出ただけでおしまいになってしまった。

(草下英明著、『星日記―私の昭和天文史1924~84』、草思社、1984)

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3号雑誌ならぬ1号雑誌。あまりにもあっけない幕切れですが、草下氏も言うように、市場成熟度を考えると、日本ではやはり早過ぎたのでしょう。

その後1965年に「天文ガイド」誌が創刊され、以後は順調に歩みを重ねていますので、日本のアマチュア天文界は(質的にはともかく)量的には20年遅れぐらいでアメリカの後を追っていたように思います。

(草下氏のこの本は、上記以外にもエピソード満載、天文界の裏事情めいたことも載っていて大層興味深い本です。)