神戸、天体議会の開かれる街(1) ― 2010年02月03日 07時05分06秒
(↑三宮周辺要図)
まず、長野まゆみ作『天体議会』の舞台の骨格をおさらいしておきます(以下、引用文中〔 〕内は原文ルビ)。
まず街の中心には、「地上駅と地下駅を合わせて数十を超えるプラットフォームがある」巨大な駅があります。
「中央駅〔セントラル〕はこの都市〔シテ〕を東西南北に四分割する、ちょうどまんなかにある。北側は標高九百メートルほどの山地、南はもちろん港と海で、その山と海の狭間〔はざま〕に市街が開けていた。西側は貨物の高架線や煉瓦構造〔レンガづくり〕の駅舎に代表される、古くからの商業区だ。一方、東側は超高層の建築〔ビル〕が林立する居住区である。」
これはまさに神戸の景観そのものですね。
ただし神戸の後背の山地は500~700メートルほどなので、作中のほうがより急峻です。
「中央駅」を三宮(三ノ宮)駅に比定すれば、西側に開けた「古くからの商業区」は旧居留地から元町にかけての町並みに重なります(高架線といえば、元町の高架下は有名ですね)。そして、東側のビルの林立する「居住区」は、新興の六甲アイランドあたりのイメージでしょうか。
また、中央駅を起点とする路線のうち、最新式の「カプセル」と呼ばれる鉄道には、
「中央駅〔セントラル〕を出てすぐ海底を走り、沖合のロケット発射島〔コスモドローム〕までを結んだ南方線と、市街を抜けると地上へ出て、今度は山のトンネルを通って貯水池の先まで行く北方線」
があるのですが、現実の神戸にも、三宮から沖合の神戸空港(マリンエア)を結ぶポートライナーと、布引貯水池の脇を越え、深いトンネルを通って北に進む路線(新神戸で北神急行に接続)があります。
というわけで、かなりあからさまな類似があって、「やっぱりモデルは神戸か」と思うのですが、実は上に書いたことには少し不思議な点があります。
(この項つづく)
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