博物学者の部屋… Liberal Arts Lab:DARWIN ROOM(3) ― 2011年11月17日 20時46分41秒
ダーウィンルームのお土産編です。
一つは前から欲しかった「テンシノツバサ(天使の翼)」。
この和名は、英名Angel wingの直訳で、その由来は一目瞭然。
学名はCyrtopleura lanceolata(キュルトプレウラ・ランケオラータ)。
ネットのチラ見情報によれば、Cyrtopleura 属には現在3種が含まれており、中でも最初にリンネが命名したC. costataというのが、最も有名かつポピュラーな存在で、英語のAngael wing は、厳密にはこの種を指すという人もいますが、3種とも姿形はよく似ているので、一般名としては全部まとめて「天使の翼」と呼んでも良いのでしょう。
自然の造形も驚きですが、これを天使の翼と呼んだ人の発想もすばらしい。
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もう一つは丸皿サンゴの一種。
ダーウィンルームのスタッフの方は、「シイタケみたいですねえ」と言われましたが、それ以来シイタケにしか見えなくなりました(笑)。でもこの類は、科名で言うと「クサビライシ科」で、「くさびら」とはキノコの古名だそうですから、やっぱり誰もがキノコを連想するのでしょう。これまた「名は体を表す」というか、自然の造形の妙と、秀逸なネーミングの取り合わせの例ですね。
(裏側)
★
今回は出張の合間で、しかも神保町でも買物をしたので、ストイックに振る舞わざるを得なかったのは、かえすがえすも残念でした。本当は各種昆虫標本にも強く心を奪われたのですが、やむを得ず断念。
しかし、せっかくダーウィンルームに来たのですから、何か強烈なインパクトのあるものはないか?と思って選んだのがこれです。
熱帯~亜熱帯の樹林に育つ、つる性のマメ科植物「モダマ」の莢(種子入り)です。
これはアフリカ産のEntada phaseoloides(エンターダ・パセオロイデス)。
(余談ですが、ラベルに「採集地:ブルキナファソ」とあって、私はブルキナファソが西アフリカにある独立国の名前で、この地域には11世紀以来王国が栄えていた、という事実を今回初めて知りました。)
さて、これがどれぐらい大きいかというと…
これぐらい大きいのです。全長は約90センチ。どうです、大きいでしょう。
でも、もっと大きいのもざらにあるようです。
モダマの仲間は日本の南西諸島にも分布していて、その種子は黒潮に乗って本土にまで流れ着き、ビーチコーマー(漂着物採集家)にとっては、恰好の収集対象なのだとか。南方憧憬を誘う品ですね。
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本日、ダーウィンルームさんから正式に画像を提供していただいたので、次回、改めて店舗の様子を大きな画像でご紹介したいと思います。(ひょっとしたら、ネットでは本邦初!かもしれないので、刮目してお待ちください。)
コメント
_ S.U ― 2011年11月18日 21時21分52秒
_ たつき ― 2011年11月18日 23時45分26秒
ダーウィンルームは私も行ってみたいです。ところで、あの貝の名前「天使のつばさ」は正式名称だったのですね。おどろきました。てっきり、売っている人が商品名として使っているのだと思っていました。素晴らしいネーミングセンスだと思います。
ところで、モダマの大きさにも驚きましたが、それ以上に驚いたのが後ろの本棚の中身です。なにやら古い洋書がたくさんありますね。また、紹介していただけたらと思います。
ところで、モダマの大きさにも驚きましたが、それ以上に驚いたのが後ろの本棚の中身です。なにやら古い洋書がたくさんありますね。また、紹介していただけたらと思います。
_ 玉青 ― 2011年11月19日 10時32分02秒
○S.Uさま
あははは。フランスパンとは言い得て妙。
正面から見ると、もこもこ感といい、おいしそうな焼き色といい、ちょうどそんな感じですが、このフランスパンは、側面から見るとひどく平べったいので、せいぜい「フランスパンのスルメ」ぐらいのところですね。(笑)
(ところで、協会掲示板に駄文を投稿しました。ご笑覧ください。)
○たつきさま
私の事前の予想では、きっと「天使の翼」の向こうを張って、黒くてとげとげした二枚貝に「悪魔の翼」という名前が与えられているにちがいない!と睨んだのですが、調べてみても、どうもそういう種類はいないようです。残念。
ただ、北アイルランドでは、ヒトデの一種「ヨーロッパマヒトデ」を、悪魔の指(devil’s fingers)とか、悪魔の手(devil’s hands)と呼ぶのだと、荒俣宏さんの本に書いてありました。日本だと「人の手」なのに、向こうでは「悪魔の手」になるのが、面白いですね。
ところで、背後に写っているのは、大半が天文学に関係する古本ですから、「天文古玩」のネタとしては面白いのですが、「読んでない本を紹介する」というのはなかなか難しくて…(^^ゞ
あははは。フランスパンとは言い得て妙。
正面から見ると、もこもこ感といい、おいしそうな焼き色といい、ちょうどそんな感じですが、このフランスパンは、側面から見るとひどく平べったいので、せいぜい「フランスパンのスルメ」ぐらいのところですね。(笑)
(ところで、協会掲示板に駄文を投稿しました。ご笑覧ください。)
○たつきさま
私の事前の予想では、きっと「天使の翼」の向こうを張って、黒くてとげとげした二枚貝に「悪魔の翼」という名前が与えられているにちがいない!と睨んだのですが、調べてみても、どうもそういう種類はいないようです。残念。
ただ、北アイルランドでは、ヒトデの一種「ヨーロッパマヒトデ」を、悪魔の指(devil’s fingers)とか、悪魔の手(devil’s hands)と呼ぶのだと、荒俣宏さんの本に書いてありました。日本だと「人の手」なのに、向こうでは「悪魔の手」になるのが、面白いですね。
ところで、背後に写っているのは、大半が天文学に関係する古本ですから、「天文古玩」のネタとしては面白いのですが、「読んでない本を紹介する」というのはなかなか難しくて…(^^ゞ
_ S.U ― 2011年11月19日 19時47分30秒
>「フランスパンのスルメ」
たはは。
それでは、これをパン袋に入れて電車に乗ったら、「マボロシのするめフランスパン」として街中のパン屋さんに引き合いの問い合わせが殺到しそうですね。
ご同意いただけますなら、ご近隣の都会地でやってみてください(笑)。
(協会掲示板のほうは、よいご指摘をありがとうございました。また、コメントを送らせていただきます)
たはは。
それでは、これをパン袋に入れて電車に乗ったら、「マボロシのするめフランスパン」として街中のパン屋さんに引き合いの問い合わせが殺到しそうですね。
ご同意いただけますなら、ご近隣の都会地でやってみてください(笑)。
(協会掲示板のほうは、よいご指摘をありがとうございました。また、コメントを送らせていただきます)
_ 玉青 ― 2011年11月20日 08時19分02秒
これは愉快犯的なイタズラで終わらせず、いっそ「歯ごたえのあるクラストが好きな人におすすめ!平たいフランスパン“エンターダ”」という新商品を、業者に開発してもらってはどうでしょうか。保存がきくので、災害時にも良いという、スグレモノなんですが…。
ところで話は変わりますが、コメント欄で例のニュートリノの速度実験についてご質問をいただきました(mimiさんより)。で、私なりにお答えはしてみたものの、これはS.Uさんにご解説いただくのが最も適当ですので、訂正・追加いただければ、まことにありがたく、何卒よろしくお願いいたします。<(_ _)>
(掲示板へのご投稿ありがとうございました。そちらにも書きましたが、記憶の衰えが進行中で、いやはやです。)
ところで話は変わりますが、コメント欄で例のニュートリノの速度実験についてご質問をいただきました(mimiさんより)。で、私なりにお答えはしてみたものの、これはS.Uさんにご解説いただくのが最も適当ですので、訂正・追加いただければ、まことにありがたく、何卒よろしくお願いいたします。<(_ _)>
(掲示板へのご投稿ありがとうございました。そちらにも書きましたが、記憶の衰えが進行中で、いやはやです。)
_ S.U ― 2011年11月20日 09時31分40秒
>フランスパン“エンターダ”
(パン屋さんで)
「じゃあ、今朝は、バタールとエンターダをいただいて行こうかしら」
いい感じですね。
(掲示板のほうありがとうございました。朱子学の自然観については、また折に触れて議論できるネタがあれば幸いと存じます)
ニュートリノの速度測定については、これからそちらに向かいます。
(パン屋さんで)
「じゃあ、今朝は、バタールとエンターダをいただいて行こうかしら」
いい感じですね。
(掲示板のほうありがとうございました。朱子学の自然観については、また折に触れて議論できるネタがあれば幸いと存じます)
ニュートリノの速度測定については、これからそちらに向かいます。
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これをフランスパン屋の紙袋に入れて端を少し出した状態で電車に乗るとちょっと面白いのではないでしょうか。