『少年天文読本』2013年07月11日 20時18分25秒

(昨日のつづき)


昨日と同じ本ですが、表紙にシミもないし、状態はこっちのほうが良さそうです。
この本は、ドイツではなく、アメリカの古書店から買いました(だから需要も少なくて、ごく安価でした)。


本の見返しには、1874年に「Onkel(=Uncle) George」が、「親愛なる William 君」にプレゼントした本である旨、ペン書きされています。
本当は「ゲオルグおじさん」から「ヴィルヘルム君へ」となるのでしょうが、名前が英語化しているのは、この2人がドイツ系移民で、本のやりとり自体、アメリカに来てから行われたからでしょう。19世紀の後半に、大西洋の波濤を越えた、あるドイツ人一家の物語がなんとなく想像されます。


見返しには、これまたドイツ系らしい姓の、ニューヨークの書肆のシールが貼られています。


これがタイトルページ。Neue Ausgabe(新版)と書かれています。

うっかりしていたのですが、実はこの本、手元に既に初版がありました。このタイトルページを見て、やっとそれに気付いたのですから、ずいぶん迂闊な話です。


こちらが初版。刊年は、こちらにも記載がありませんが、序文が1865年になっているので、たぶんその頃に出たのでしょう。

(以下、内容に踏み込みつつ、さらに続く)

コメント

_ とこ ― 2013年07月11日 23時27分32秒

素敵な青い表紙ですね。
天文のモチーフだけではなく、飾り模様や周囲のエンボス加工、色の配置、文字・・・すべてが素敵!!
この表紙だけでも、初版と新版の両方をもつ価値が十分にあると思いました。
内容も楽しみです^^

_ たつき ― 2013年07月12日 04時13分19秒

玉青様
欧米の古書を買うと必ず「誰から送ります」とか、「いつどこで買った」とか、古書店の印が貼ってあったりしていますよね。それがまた本の歴史を思い起こさせて、感動してしまいます。これは日本の本には全くない風習ですものね。
それとこの本の装丁で私は長野まゆみを思い出しました。

_ 玉青 ― 2013年07月12日 20時21分44秒

〇とこさま

そう言っていただけるとホッとします。
改めて見比べると、新版の目の覚めるような美しさはもちろんですが、旧版の渋い表情もなかなか捨てがたいですね。

〇たつきさま

最近は日本の古書でも、旧蔵者の息遣いが感じられるような「痕跡本」が、一部で人気のようですね。私はもともとそういうのが好きで、100年以上も前の人の書き込みを見ると、なんだか「歴史そのもの」を手にしているような、不思議な気分になります。

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