青銅の空、金の星2013年10月18日 21時12分41秒

天気管はさらに成長を続け、今や全体の8割方が白くなりました。

   ★

写真はネブラ・ディスクの縮小レプリカ(直径12.5cm)。


以下、ウィキペディアの「ネブラ・ディスク」の項より転記。

 「ネブラ・ディスクとは、2002年にドイツ中央部、ザーレラン地方の街で発見された円盤。直径約32cm、青銅製で約3600年前に作られた人類最古の天文盤であると2005年ドイツの研究チームが結論づけた。盤の上には金の装飾で太陽と月、星(プレアデス星団)が模られ、太陽暦と太陰暦を組み合わせた天文時計である。日本では、愛知万博で展示されたことがある。

 チェコ、ドイツ中部・南部、ポーランド西部に広がっていた、中央ヨーロッパ青銅器時代の中心的文化であるウーニェチツェ文化のもの。」

上の記述はやや簡に過ぎるので(ウィキ自身も「書きかけ項目」と注記しています)、英語版(http://en.wikipedia.org/wiki/Nebra_sky_disk)もあわせて参照してください。
(2002年は専門家がその存在を「認知」した年であり、「発見」は1999年に盗掘者によってなされたこと、現在見るネブラ・ディスクは4期にわたる改変を経た姿であること等、興味深い事実が書かれています。)

エーゲ海にミノア文明が生まれ、ブリテン島ではストーンヘンジが建立された頃。
そんな遠い昔に、中央ヨーロッパの森で暮らす民が夜空に目を向け、天体の動きに十分注意を払っていた…という事実が、この美しい円盤から分かります。
そして、おそらく天体―少なくとも太陽と月―に対しては、「空の大海原を漕ぎ渡ってゆくもの」というイメージを抱いていたであろうことも。

でも、実際のところ、彼らは満天の星空を、どんな気持ちで見上げたのでしょう?
きっと、今では失われてしまった、星にまつわる「炉辺話」が夜ごと語られ、子供たちは目を輝かせて、時には恐ろしさに震えながら聞き入ったことでしょう。

まあ、すべては想像するほかない、遠い遠い過去の世界の話です…

(闇の中で金色の光を放つ天体たち)

〔それにしても、その「遠い遠い過去」の25倍も遠い遠い未来に、放射性廃棄物を押しやろうという現代人の営みとはいったい…?〕

コメント

_ S.U ― 2013年10月19日 08時40分13秒

ほう、これが3600年前に描かれたプレアデス星団の姿ですか。
ふと思ったのですが、3600年前には、プレアデス星団は、多少なりとも今とはちがう形に見えていたのでしょうか。ちょっと固有運動を図示したものがないかネット検索してみましたが、見つかりませんでした。

 なお、トーマス・ライトの"An Original Theory of the Universe"には、プレアデス星団の星々をつないで工夫を凝らした精密な図が載せられていて、将来の固有運動によって星団を形が変わるのを捕らえよ、という提案がされています。この人は、この点でも、恒星の固有運動の系統的な研究をしたハーシェルの先駆者と言えますね。

_ 玉青 ― 2013年10月19日 17時43分21秒

恒星天にピッタリと星が張り付き不動のものだった「静的宇宙観」が、ティコやケプラーの新星によって揺らぎ出し、18世紀に入ると動的で豊饒な宇宙観へと移り変わっていく様は感動的ですね。

プレアデス星団の形の変化で、恒星の固有運動を検出しようというアイデアも興味深いです。今、パパッと以下のページを見たら、プレアデスの各星の固有運動は19世紀にも注目されていて、メドラーとストルーヴェの論争なんかがあったみたいですが、いずれも各星は共通の固有運動を示し、相互の位置関係は不変ということを前提にした議論のようです。
http://messier.seds.org/m/m045.html

(関連パラグラフ)
About 1846, German astronomer Mädler (1794-1874), working at Dorpat, noticed that the stars of the Pleiades had no measurable proper motion relative to each other; from this he boldly concluded that they form a motionless center of a larger stellar system, with star Alcyone in the center. This conclusion was to be, and was, rejected by other astronomers, in particular Friedrich Georg Wilhelm Struve (1793-1864). Nevertheless, the common proper motion of the Pleiades was a proof that they move as a group in space, and a further hint that they form a physical cluster.

果たして現代の観測でもそうなのかな…と思って、英語版ウィキのプレアデスの項(http://en.wikipedia.org/wiki/Pleiades)に飛んだら、うまい具合に、プレアデス近傍の星の固有運動を40万年(20万年前~20万年後)に渡って見せてくれるGIFアニメにリンクが張られていました。
http://en.wikipedia.org/wiki/File:Astro_4D_m45_cr_anim.gif

これで見ると、本当にプレアデスは形を変えることなく天球をよぎっていく様が見て取れます。美しい7姉妹は、どうやらその誕生から死まで仲睦まじく空を旅するみたいですね。

_ S.U ― 2013年10月19日 18時54分12秒

おぉ、こんなところに、Wikiのネブラ・ディスクの下に動画があったとは!
よくぞ見つけて下さいました。
 プレアデスは平行移動なんですねぇ。
 でも、顔かたちが変わらなくとも、動いているのなら、やがて斜めになり、横顔になり、後ろ姿になる日も来るはずです!

_ 玉青 ― 2013年10月20日 09時16分25秒

20万年後に人類が生き残っているかどうか分かりませんが、今とはすっかり様変わりした星空の中にあって、スバルだけは昔と変わらぬ姿をとどめているというのは、なんとなく嬉しい気がします。人類がスバルに愛想尽かしをされないように祈りたいです。(^J^)

_ S.U ― 2013年10月20日 16時49分45秒

そうですね。その形が長い間変わらないことは、地球上の様々な民族によって古い詩や伝説に結びつけられているプレアデス星団にふさわしいことかもしれませんね。何万年かののち、空のプレアデス星団に対して、地に放射性廃棄物だけが残るようなことでは情けないので、人間も歴史に責任を持って歩まねばなりません。

 すばるぼし 地にも変わらぬ まことあり      S.U

_ 玉青 ― 2013年10月21日 20時51分03秒

睡りし吾子の ふと微笑みぬ     玉青

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