博物趣味の欠片…薬学の歴史と青い壜2013年12月16日 20時53分19秒



コルク栓を除く壜の高さは9cm。ちょうど掌にすっぽり入るサイズです。


このコバルトガラスの壜は、肉眼だともっと紫味の強い、深い色合いですが、私のカメラだと単純に青く写ってしまい、画像をいじってもうまく再現できないのが残念。


中身はスペアミント精油。精油そのものはすでに失われており空壜ですが、栓を開けると今でもミントの香りが漂います。

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ラベルの冒頭には、「Pharmacie Centrale de France」と書かれています。この「フランス中央薬局」というのは、1852年に創設された大規模な経営体らしいのですが、詳しいことはよく分からず。でもその名を冠することは、何となく「日本薬局方」のような、「お上公認」的な安心感をかもし出すものだったんじゃないでしょうか。ラベルの下の方には、そのトップを長く務めたCharles Buchet(1848-1933)の名も見えます。
 
(フランス中央薬局の請求明細書。出典:http://images-01.delcampe-static.net/img_large/auction/000/126/955/803_001.jpg

シャルル・ブシェはフランス薬史学会の創設にも関わり、フランス薬史学の父と呼ばれる人。考えてみると、こういうハーブ・エッセンスが薬品として扱われること自体、薬学のルーツがどの辺にあるかを、問わず語りに教えてくれるようです。魔法使いのお婆さんがグツグツ薬草を煮込んでいた時代の記憶が、そこにボンヤリ反映しているような気がしてなりません。