モルー神父の青い星図2014年04月25日 06時45分09秒

新しい職場にまだ慣れなくて、仕事のペースがつかめません。
そんなわけでブログもちょっと滞りがちですが、無理のない範囲でぼちぼち続けていきます。

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さて、今日は星図の話。
先日(4/15)登場したムーア様式の怪天文台の主、モルー神父が編んだ星図集が手元にあります。特に奇をてらった内容ではなくて、どちらかといえば地味な品なので、こんな機会でもなければ登場しないと思い、ここに載せておきます。


Abbé Moreux
 ATLAS CÉLESTE pour chaque mois de l’année. (nouvelle édition)
 G. Doin & Cie (Paris)

(タイトルページ)

手持ちの本には刊年の記載がありませんが、巻末を見ると、1928年に刊行された同師の『天空と宇宙 Le Ciel et l’Univers』が大きく宣伝されており、たぶんその前後に出たものでしょう。(ちなみにフランス国立図書館には同じ星図集が3冊収蔵されていて、それぞれ1925、1945、1967年に出ています。フランスではかなり長期にわたって版を重ねたようです。)


この本は32×25センチの横長の版型で、「本」とは言っても、中身は綴じられていなくてバラバラです。メインは各月ごとの星図12枚、そこに同じ枚数の簡単な星空解説が付きます。


4月の星図。月初めの午後9時、月半ばの午後8時にフランスから見上げた星空が円形星図(真ん中が天頂)で表現されています。こうした体裁は各月共通。

爽やかな青が素敵な、愛らしい星図ですが、こうした形式はすでに19世紀のイギリスに先例があります。たとえば下の記事に出てくるプロクターの星図は、当時大いに人気を博し、他にも模倣する人が出ました。モルー神父もおそらくそこから想を得たのでしょう。

リチャード・プロクター 『星たちと過ごす半時』
 http://mononoke.asablo.jp/blog/2006/10/08/552832


巻末の出版案内。モルー神父が書いた、あるいは監修した本がずらりと並んでいます。全部をチェックしたわけではありませんが、いずれも1925年前後のごく短期間に出た本で、彼が驚くほど多作家だったことが分かります。

そのタイトルを見ると、「天空と宇宙」のようにごく普通の天文書もありますが、「科学と信仰のフロンティア」、「ファラオの神秘科学」、「アトランティスよ、汝は存在したのか?」、「火星の生命」、「現代の錬金術」…etc.、科学・宗教・歴史を混ぜ合わせたキワモノっぽいものも目立ちます。師匠に当たるフラマリオンのその方面の関心を、彼も受け継いでいたのでしょう。

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