戦争と新発明(1)2014年07月01日 21時33分51秒

戦争とは悲惨なものです。
と同時に「カッコいい」ものです。
少なくとも人間は戦争を憎むと同時に、それを囃し立てる傾向があります。

昔の人も太平記読みが語る合戦シーンに胸を躍らせましたし、近代以降、メディアが進化を遂げても、そこで人気を誇るのは昔に変わらぬ戦闘シーンで、ときには宇宙や未来を舞台に、ダダダダ…、ズドーンズドーン…、ドカーンドカーンを繰り返しています。

いまだ悟りを得ぬ者は、六道を輪廻すると言います。そのうちには地獄道あり、餓鬼道あり、畜生道あり、そしてまた修羅道あり。
考えてみれば、サッカーも将棋も、およそゲームと名の付くものは、戦争の疑似体験かもしれず、勝負・闘争を好むのは、ヒトの生物的特徴だと思います。

その特徴は、たぶん19世紀まではヒトの勢力伸長に有利に作用しましたが、20世紀以降、逆にヒトが種として存続する上で最大の不安定要素となっていることは、多くの人が感じていると思います。

   ★

…と、身の丈に合わぬことを語ろうとすると、だんだん話が広がって収拾がつかなくなりますが、そもそも何を書こうとしたかというと、第1次世界大戦期における、人々の科学技術への視線みたいなことを、モノを通して振り返りたかったのでした。

で、結論から言うと、どんなに悲惨なことが目の前で展開していても、やっぱりそこには「カッコいいもの」を見ようとする目があったんじゃないかなあ…と感じたのでした。

たとえばここに1冊の本があります。
形成外科学の本ではないので安心していただきたいですが、当時の児童書です。


アーチボルド・ウィリアムズ、『現代の発明の驚異』
Archibald Williams,
The Wonders of Modern Invention.
Seeley (London), 1917
8vo, 165p.


1914年から1919年まで続いた第1次世界大戦の真っ最中にイギリスで出た本です。
この青空に入道雲が映える、爽やかな表情の本の向こうに、大戦争があり、新兵器に目を輝かせる子供がいた…らしいのですが、中身はこれから読むので、ひょっとしたら違う結論になるかもしれません。

(この項つづく)

【7月2日付記】 読み返して文意不明の箇所を一部削りました。

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