金色の天文時計2019年06月10日 07時00分47秒

今日は時の記念日
これは我が国で初めて漏刻(ろうこく、水時計)が使用されたという、天智天皇の故事に由来する日本限定の記念日ですが、ここでは金色まばゆい異国の時計に登場してもらいましょう。

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昨日、つれづれにYouTubeを見ていて、下の動画に行き当たりました。


An Astronomical Table Clock, Augsburg, Circa 1600, on Auction in London

これは、サザビーズ(ロンドン)の2013年6月オークションに登場した、卓上天文時計の宣伝用動画です。ドイツのアウグスブルクで1600年頃に作られたもので、巧みな金属加工技術と、優秀な時計製作術が合体した、まさに逸品中の逸品。

評価額は12万ポンド~18万ポンドと出ていて、今日のレートで換算すると、1,700万円~2,500万円。モノも驚きですが、世の中にはこういうものをポンと買う人がいるんだなあ…というのがまた驚きです。

検索したら、この品はサザビーズのサイトに、その詳細が載っていました。


A gilt-metal quarter striking astronomical table clock, Augsburg, circa 1600

それによると、実際の落札価格は、評価額のちょうど真ん中、15万8,500ポンドでした。同じく日本円に換算して2,184万円也。やっぱりいいお値段ですね。

でも考えてみれば、億ではなくて2,000万円というのは、いくぶん微妙な数字です。普通の勤労者でも、小っちゃなマンションを買うつもりで、バーンと張りこんだら、買えないことはない額。しかもですよ、マンションはいずれ減価償却で、無価値になってしまいますが、この古時計はそんな心配はないのですから、はるかにお得です。

…という風に考えてみたらどうでしょう?
まあ私も含め、先立つものがなければどうしようもないですが、「長屋の花見」よろしく、とりあえず気分だけでもパーッと景気よく行くのはタダですから、梅雨のジメジメをしばし忘れて、夢を膨らませるのもいいんじゃないでしょうか。

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そういえば、金融庁が「老後に備えて2,000万円貯蓄せよ」と言って、批判を浴びました。今や私の脳裏には、アウグスブルクの金時計が一家に一台、国中にずらっと並ぶ光景が思い浮かびますが、確かにそこまでしないと国民の生活が覚束ないというのは、相当危機的な状況です。

国の破綻を告げる漏刻の水は、今も刻一刻したたり続けています。

「それなのに今の政府は…」と、私なら続けたいですが、それに対する反論も当然あるでしょう。いずれにしても、この苦い現実は、各人がそれぞれの立場で、よくよく考えねばなりません。

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