年頭のごあいさつ2007年01月01日 21時24分27秒


新年明けましておめでとうございます。

年頭にあたり、少し今年の抱負を述べたいと思います(酔っ払ってるので、文が乱れています。ご容赦ください。)

今年の重点目標は以下の3点です。

★人体模型について、まとまった記事を書く。
★「理科室風書斎」をキーワードに部屋を整理する。
★「銀河鉄道の夜」の作品世界の具象化。


(1)人体模型について
 これまでもチラチラ顔をのぞかせていますが、今年は人体模型について、集中して取り組みたいと思います。それが機縁となって、2007年は汎世界的に人体模型に沸く年となってくれると嬉しいです(←妄想)。  

(2)理科室風書斎
 「理科室風書斎」という言葉は、現在 Googleでも引っかからないので、私のオリジナルな用語です。オッホン、と威張ってみたりしますが、それはともかく、何とも素敵な語ではありませんか。理科室風書斎でまどろむ午後…。ああ、実にいいですね。

(3)銀河鉄道の夜
 私の天文古玩趣味を常にインスパイアしてきた「銀河鉄道の夜」。ジョバンニが目にした世界をモノで表現できたら…というのは、これまでも夢想してきたことですが、今年はその点を重視してコレクションに励みたいと思います。ジョバンニの教室や、ケンタウル祭の時計屋の店先を視覚化できたら素晴らしいですね。


それにつけても、「天文古玩」というタイトルは如何なものか。天文がメインには違いないのですが、天文と人体模型だとちょっと縁が遠いし、看板に偽りなきや?の感が無きにしもあらず。ただ、「理科古玩」だと、ちょっと座りが悪い気がしますし、発音もしにくいですね。特に名案もないので、当面はこのタイトルで続行します。

 ☆   ☆   ☆

こんなことを書いても許される、平和な世の中が今後も脅かされることのないように。そして、この平和が地に行き渡りますように。

理科室化 進行中2007年01月03日 19時04分13秒


昨日は記事も書かずに何をしていたかというと、正月早々夜中まで大工仕事をしていました。

今年の抱負に掲げた、「人体模型」と「理科室風書斎」の双方に関係するのですが、昨日、我が家の人体模型のための保管ケースが届き、それをトンテンカンテン直していました。元々どこかの学校で使われていた品らしく、なかなか味わいがあるのですが、いかんせん傷みがひどく、それを2日がかりでレストアし、ようやく先ほど据付けが終わったところです。

ああ疲れた。しかし嬉しい。奥行きが本棚と同じで、収まりが良いのも吉。
実物は写真よりももっと奥行き感があって、さらにいい感じです(←自画自賛)。

実はこの品はサイズを確認せずに買いました、普通なら出品者に問い合わせるところですが、非常に安い値段が落札希望価格に設定されていたので、即断即決が要求され(まあ、他に欲しがる人はなかったかもしれませんが、でも、そのときの気分としては、そういう焦りがありました)、「えーい、ままよ」と落札。届いた品は、予想よりだいぶ大きくて、一瞬ギクッとしましたが、他の模型も一緒に収納できたし、模型の上部の空いた空間には棚をつけて有効活用。結果的には正解でした。

ところで、出品者の方は、太っ腹なことに代金を支払う前に早々と送品してくれました。よほど早く手放したかったのかも。まさに捨てる神あれば拾う神あり、ですね。

部屋の理科室化がまた一歩進みました。

チャーミングな本2007年01月04日 23時44分21秒

今本棚から適当に抜いた本。

★ Seeing Stars
  W. B. White(著)・Ruth C. Wiiliams(絵)
  The Harper Publishing Co., Cleaveland, 1935

挿絵は全編ライトブルーの洒落た印刷。ざっくりとした版画の味わいや、印刷の細かいかすれに、1930年代の空気を感じます。版型は文庫本より一回り大きいサイズで、わずか61頁しかない可愛いらしい本。全体に、いかにもアメリカっぽい造本です。

私が持っているのは、同年(1935)ロサンゼルスにオープンした、グリフィス天文台の売店で売られていたものらしく、「グリフィス天文台書籍部売品」のスタンプが押されています。

チャーミングな本(2)2007年01月05日 22時41分51秒

妙にまぶたが重い…というわけで、今日はごく簡単に。

昨日の本の表紙です。
こうして見ると、表紙は何の飾り気もなく、チャーミングとは言いかねます。
でも中身は、昨日も紹介したように、とても涼やかで、ミントの風合いがある本です。

さらにチャーミングな本(1)2007年01月06日 20時27分51秒


Seeing Stars には、すでに一世代前に、先蹤となる本がありました。

★ASTRONOMY FROM A DIPPER
 Eliot C. Clarke(著)
 Houghton Mifflin Co., Boston, 1909(第8刷)

20.5 X 11.5cm という超横長の変形版。これまた66頁という薄い本です。
1909年というのは、日本でいうと明治42年ですが、本当にそんな昔に出た本なのか、今もって信じられない気がします。

中身については、明日以降おいおい紹介していきますが、これは実にいい本です。今でも古書サイトにあたれば簡単に手に入ると思いますが、お手元に置かれて決して損はないでしょう。

著者のクラークについては全く知るところがありませんが、19世紀末に、ボストンで公共下水やごみ処理の本を著した同名の人がいて、たぶん同じ人だと思います。とすると、これは天文学の専門家ではなく、都市工学畑の人が余技で書いた本なのでしょう。

冒頭の献辞を見ただけでも、全篇に横溢するユーモアとウィットが知れようというものです。

 □  □  □

 孫娘、Alice de Vermondois Ware へ。

 この記念すべき天文学書が出版社に受け容れられた、
 まさにその日に天上世界に光輝を添えた新星よ。

     (-_-)

 ボストン座の新星(Nova Bostoniae)。
 最初の出現から24時間後の観測結果より。


 □  □  □

実際には、上の顔文字の部分には、すやすや眠る赤ちゃんの顔写真が印刷されています。

さらにチャーミングな本(2)…ASTRONOMY FROM A DIPPER2007年01月07日 21時11分06秒


ASTRONOMY FROM A DIPPER ―『北斗七星からはじめる天文学』。
まずはその前書きです。

 ★  ★  ★

主な星や星座が分かれば、宇宙はぐっと身近なものになるし、ただぼんやり眺めるのと違って、空を見上げるのがとても楽しみになる。星々をヨブやホメロスが使った名前で呼べば、想像の翼も広がるだろう。

あまり苦労せずに学べるものなら、多くの人は星について学びたいと思っているはずだ。今ではそうした知識への手引きとなる、数え切れぬほどの星図や教科書があるけれど、たいていその試みは失敗に終わっている。そうした本を書いたのは専門家であり、彼等はあまりに多くのことを教えたがるし、初心者のつまずきやすい点に全く無頓着だからだ。

生徒と五十歩百歩の知識しか持たぬ者こそ、ここでは最良の教師なのだ。その点で、私はまさに教師にうってつけの人間といえる。 

 ★  ★  ★

ご覧のように、この本は、文字も挿絵も紺色のインクで刷られており、文体ともマッチした、軽やかな感じを生んでいます。挿絵は作者自身の筆になるものですが、素人とは思えぬ手際。実に洒落ています。

(この項つづく)

さらにチャーミングな本(3)… ASTRONOMY FROM A DIPPER2007年01月08日 22時39分55秒

この本は、どの項目も見開きで左に解説、右に説明図が来るというレイアウトで統一されています。(横長の版型なので、上の写真では左頁を上に、右頁を下に切り張りしました。)

内容は、題名の通り北斗七星から始めて、頁を追うごとに近くの星座を順に覚えていくというもので、上図は、手始めに北極星とこぐま座を見つけるためのレッスン。(こういうレクチャーの仕方は、クラークが最初ではないかもしれませんが、彼にとっては独自に考えた方法なのでしょう。今でこそポピュラーなやり方といえますが、当時はコロンブスの卵的な発想だったと思います。)

さて、左の解説頁にも、右下に小さなカットが描かれています。横長の本の絵です。その表紙には「改訂第5000版 H.M.社」と書かれており、「ん??」と思いながら本文を読むと、

 「数千年前、北極星(ポラリス)は、天の北極を示す星(ポール・スター)
  ではなかったし、数千年後もまたそうだろう。そうなったら、この教科書
  も新しい改訂版を出さねばなるまい。」

とあって、ちょっとニヤッとすることになります。(H.M.社とは、言うまでもなく版元の Houghton Mifflin 社のこと。)

こういうユーモアが、この本をとても楽しいものにしています。

さらにチャーミングな本(4)… ASTRONOMY FROM A DIPPER2007年01月09日 23時29分44秒

昨日も取り上げましたが、この本を楽しくしているのが、文中のユーモラスなカット。

上に4つの絵を並べて載せました。それぞれ切手サイズの可愛い作品。何となく判じ絵めいていますが、なんだかお分かりになるでしょうか?

★右上はもちろん北斗七星。よく柄杓の形にそっくりというけれど、正しくは「古い柄杓」にそっくりと言うべきでは?…という皮肉のこもった絵。

★左下はペガスス座の胴体に当る、いわゆる「ペガススの四辺形」。この星座の形は、あまり馬には見えないが、でも確かに馬を入れる馬小屋には見える、という一種の「うがち」。

★右下は「南の魚座」の項より、十分身ごしらえをして、釣竿を持った男性の絵。南の魚座は、アメリカやイギリスからは、よく見えないので、じっくり見たいなら、南米やオーストラリアへどうぞ、と勧めています。

★そして、左上の仲むつまじいカップルについては、以下のような説明があります。「…3つか4つ星座を覚えたらしめたもの。抜け目ない男性なら、誰かにその知識を披露し、教師役をつとめる喜びを、たっぷり味わえるはず。ただし、空を見上げているうちに、彼女がカゼをひいたり、転んだりすることのないよう、ご用心。」

繰り返しになりますが、これは100年前に出た本です。が、古臭さは全然なくて、今でも新鮮でしなやかな感じがします。その辺が、アメリカ的といえばアメリカ的。

 ☆  ☆  ☆  ☆

さて、洒落の解説は大野暮なので、この本の紹介はこれで終わりにします。

ライプツィヒ天文台2007年01月10日 23時34分27秒


19世紀後半と思われる、ドイツの百科全書の挿絵より(部分)。欄外に、ASTRONOMIE Taf.8.(天文学 第8図)とあります。

版画のみ切り売りされていたので、書誌情報がはっきりしませんが、版元はライプツィヒの Brockhaus 社です。

一応、各地の天文台を紹介する挿絵で、グリニッジや、プルコヴォ(ロシア)のような有名どころも見えますが、それら以上に詳しく紹介されているのが、御当地ライプツィヒの天文台(1861年完成)。身びいきの要素が、露骨に見られます。

中央の大きな図は、同天文台の大ドームの内部。その左右には、小ドームや子午儀室の内部も詳しく描かれています。

多数の図を稠密に並べ、パッと見、紙面がいかにも黒々としています。同時に買った他の図版(出所は同じ)も似たような感じ。あるいは、その密度感がドイツ風なのかもしれません。

理科室風書斎への手引き…澁澤龍彦邸2007年01月11日 20時40分20秒

(澁澤邸の居間のキャビネット。細江英公撮影)

●「太陽」1991年4月号
  特集 澁澤龍彦の世界 Encyclopedia Draconia

理科室風書斎と聞くと、澁澤龍彦(1928-1987)邸の居間と書斎を思い浮かべます。

澁澤氏もはや没後20年ですか。
私は澁澤ファンでも何でもないのですが、没後すぐに出た「季刊みづゑ ・冬号」で見て以来、「書斎を持つなら、ああいう空間にしたいな…」と思いながら、現在にいたっています(←前途遼遠也)。

上に挙げたのは、それから3年後の91年に出た「太陽」の特集号。内容は「みずゑ」の記事と大同小異ですが、邸内の別テイクの写真が見たくて、今回新たにバックナンバーを探して購入しました。

 ☆  ☆  ☆

当時からいちばんのお気に入りは、上のキャビネット。(「みずゑ」にも大きく載っていました。) これこそ、20年前、元・理科少年の心にふたたび理科室趣味の灯を点した元凶なのです。自然界のオブジェが詰まった棚を、自分の手元に置くという発想はこの時に生れたと思います。

今の自分の部屋を改めて見回すと、オウムガイ、貝殻、ウニ、カブトガニ、サソリ、サンゴ、紫水晶…etc、自分がいかに1枚の写真に影響され、その模倣に努めてきたか、慄然とするほどです。


■澁澤邸の近影はこちらでも見られますが、画質がやや悪いのが残念。
 神保町ドットコム(http://www.jimboucho.com/study/001/index.htm