掛図を使った授業風景(イギリス編)2008年08月03日 18時15分31秒

D.E.アレンの『ナチュラリストの誕生-イギリス博物学の社会史』(平凡社、1990)のカバー(http://tinyurl.com/67wrzw ←アマゾンにリンク)に、掛図を使った授業風景が載っているのを思い出しました。

元となっているのは、同書の第10章に掲載されている写真で、「自然学習クラス。1923年」とキャプションにあります。さらにその大元の出典は書かれてないんですが、たぶん、イギリスのprep school(パブリックスクールの前段階に当たる私立小学校)あたりの光景でしょう。

掛図が小さいせいか、先生はぐっと前方に生徒たちを集めています。描かれているのはマツ類の球果で、半ズボンにジャケット、ネクタイ姿の、いかにもこまっしゃくれた少年たちが結構真剣に見入っています。背後の壁にも大小の掛図が掛かっており、掛図が授業で多用されていたことがうかがえます。

何とも微笑ましく、懐かしい光景に見えるのですが、著者アレンの目にはかなり苦々しいものに映ったらしく、この図は博物学(そしてナチュラリスト)の哀れな晩年を悼む文脈の中に出てきます。それをカバーデザインに取り入れたのは、『ナチュラリストの誕生』という邦題からすると、実に皮肉な話。

アレンが何をそれほど嘆いたかは、上の写真とは直接関係がないので、記事を改めます。

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