羽のあるウラニア2014年09月24日 06時56分13秒



売り手の言によれば、フランツ・クライン(Franz Cleyn、1582頃-1658)による、1645年の連作「Die sieben freien Künste(自由七科)」のうちの1枚。

「自由七科」とは、中世ヨーロッパにおける基礎教養科目で、文法学・修辞学・論理学・算術・幾何・天文学・音楽の7科目を指します。この版画はそのうちの天文学を擬人化して表現した図(印面サイズは12.5×10.5cm)。

羽のある天使という、かなりキリスト教化された姿で描かれていますが、これもまたウラニアのバリエーションと見てよいのでしょう。ディバイダを手にして、天球儀と隣り合う姿はお約束です。


右側の僧体の老人は、天文学の女神に教え導かれる天文学者でしょうか。


足もとに見えるのは、日時計、アーミラリー、四分儀のようです。


妙に愛らしい星座絵。
デフォルメがきついですが、それでも元の星座が何となく分かります。ちなみに、左下に見えるキリンのような、ラクダのような、妙な生き物は「くじら座」。


ちょっとマンガチックな表情の鷲。
図像学的に鷲は多義的な存在ですが、ここでは単純に「天空」の象徴だろうと思います。

(この項さらにつづく)

コメント

_ toshi ― 2014年09月24日 14時56分51秒

同一のテーマですが,小生のところのフローリスによるアストロロジアのバリエーションと思われました.

_ toshi ― 2014年09月24日 19時51分05秒

連投で失礼します. タイトルにウラニアとありますね.

Astrologia:Astrorvm Uraniae Cursus 1565
彫師 Cornelis Cort
出版社H.Cock
原画F.Floris

_ 玉青 ― 2014年09月24日 21時14分33秒

やや、これは…!!!
本当に寸分たがわぬ構図ですねえ。
これはもうこういう「型」として、時間的・空間的に、ある程度の広がりをもって成立していたのでしょうかね。…と思って改めて検索したら、toshiさんの優品も、私の小品も仲良く出てくるサイトを見つけました。

http://art-links.livejournal.com/1683145.html?thread=8851913

ウラニア(アストロロジア、アストロノミア)を始めとするミューズたちが勢ぞろいして、何とも壮観ですが、似たような姿形でも、地球儀を手にしているのは、ジオメトリカに擬されているパターンが多いことを知り、その点も興味深く思いました。

Astronomy と Astrology の語義の変遷も、いずれきちんと整理したいのですが、なかなか思うに任せません。この点につきましても、またぜひご教示ください。<(_ _)>

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