豊郷小再び2014年10月26日 08時30分40秒


(豊郷小旧校舎。2012年撮影。以下同じ)

琵琶湖の東、彦根から南に下ったところにある、滋賀県豊郷町立・豊郷(とよさと)小学校を訪問し、理科室を見学したのは、一昨年の6月のことです。米人ヴォーリズの設計になる、昭和12年(1937)竣工の校舎はまことに美しく、その一角に設けられた理科室も瞠目に値するものでした。
 

あのときお世話になったY氏は、以前から豊郷小の校舎保存に関わってこられた方で、先日そのY氏から「豊郷小学校旧校舎群歴史展」のご案内をいただきました。


豊郷小学校旧校舎群歴史展 
 ○会期 2014年11月16日(日)~11月30日(日)
 ○会場 豊郷小学校旧校舎群本校舎2階
       (滋賀県犬上郡豊郷町石畑518 最寄り駅 近江鉄道豊郷駅)
 〇主催 公益財団法人 芙蓉会

チラシには、古写真と資料で知る『東洋一の小學校』」の文字が躍っています。
 

豊郷町は一見何の変哲もない田舎町です。平坦な田園地帯の中に、アニメ「けいおん!」のモデルともなった、瀟洒な白亜の校舎がデンとそびえている様は、一種感動的ですらありますが、その秘密を解くカギは「近江商人」にあります。

ここ豊郷町は、名だたる経済人を輩出した「近江商人のふるさと」であり、豊郷小の豪華な校舎・備品の一切合財を拠出した古川鉄治郎(1878-1940)もその一人なのでした。
 

今回の催しは、古川鉄治郎とその実弟・古川義三が、昭和3年(1928)に海外視察旅行に出かけた際の見聞記、『セカイヒトノゾキ(世界ひとのぞ記)』の復刊を記念して行われるものです。


今回、理科室関係で展示されるのは、島津製作所製の大きな「コックス電源装置」ぐらいだと伺いましたが、あの夢のような校舎に興味のある方は、この機会にぜひ足をお運びください。
 
 
   ★
 

先年訪問した際、同校の理科室はまだ整備が行き届かず、混沌としていました。
それはそれで素敵な雰囲気でしたけれど、戦前の貴重な理科教具や標本が大量に保管されている同校は、まさに理科室のタイムカプセルともいうべき存在で、小学校版インターメディアテク」の趣すらあります。今後、その貴重な価値を踏まえた整備が進み、昭和の教育遺産として、広く公開されることを期待したいです。

   ★

そういえば、理科室とは関係ないですが、豊郷小で連想したのが下の本。
歴史・民俗学の専門出版社・岩田書院の新刊案内で拝見して、大いに興味をそそられました。

(由谷裕哉・佐藤喜久一郎(著)、『サブカルチャー聖地巡礼―アニメ聖地と戦国史蹟』)

(内容の一部)

人の営みがある限り、そこには常に民俗が生まれるものなのですね。

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