ネオ・ナチュラリスト・インテリア2015年01月03日 09時31分51秒

人の行いとは不思議なもので、まったく自分の意志で、他者とは独立にやっているようでも、意外にそうではなくて、ときには遠い海の向こうでも、誰かがやっぱり似たようなことをやっている…ということが、ままあります。

人の行き来もあるし、同じ時代の空気を吸っているので、自ずとそういうことになるのだと思いますが、やっぱり不思議な気がします。

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このブログもそうかもしれませんが、本当のサイエンスとはちょっと位相の異なる、いわば「風俗としての理科趣味」を追う動きが、近年、世界同時多発的に起きている気配があります。

その一方の旗頭は、言うまでもなくヴンダーカンマー嗜好ですが、さらにそれとは別に、「スッキリ系の理科趣味インテリア」を愛好する人もいて、アメリカではそれを「ネオ・ナチュラリスト・インテリア」と呼ぶらしい…というのが、今日の話題です。


リンク先のページは、「Lamps Plus」という、アメリカ西海岸を本拠とする照明器具屋さんのインテリア・コラム。今から3年前の、ちょっと古い記事ですが、当時(2012年)、このネオ・ナチュラリスト・スタイルが、新しいトレンドとして、デザイン雑誌やショップ・カタログを賑わしていたようです。以下、記事の内容をかいつまんで紹介すると…

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ネオ・ナチュラリスト・インテリアのポイントは、ヴィクトリア朝のテイストをまぶした研究室風の外観と、そこに流れるノスタルジアの感覚。産業革命期のごつい金属ランプは、白熱するフィラメントの懐かしい光を投げかけ、ガラスドームに収まる蝶の標本は、そこにロマンティックなムードを添え、あたかも19世紀の植物学者の住まいを思わせる風情を漂わせます。金属の質感が持つ、男性的・科学的な要素と、優しく和やかなムードの組み合わせから成るこのスタイルは、オフィスや書斎、あるいはキッチンにも最適(…と、コラムの書き手は主張します)。

以下はその実例(キャプションは適当訳)。
 

ネオ・ナチュラリスト様式のお手本ともいえる仕事部屋。ガラスドーム、婦人用の椅子、ロマンティックな机が、古風な照明と組み合わされることで、レトロ感を生んでいます。
 

これまたネオ・ナチュラリスト趣味にあふれた快適な仕事部屋。金属と木でできたカウンター用の丸椅子が素晴らしい。これは座面を回転させることで、ちょうどよい高さに調節できます。古びた革張りのウィングバック・チェアーが、古びた金属ランプや、ふんだんに用いられた木部とよく調和しています。
 

インダストリアル・エイジの黎明期のムードが漂う部屋。驚異の部屋(Cabinet of curiosities)と同様、この仕事部屋も、温もりのある木材と金属との組み合わせからできています。切り貼りやラッピング作業には、まさにうってつけのスペース。ここに見られる品の大半は、フリーマーケットや地元のアンティーク・ショップで見つけることができるでしょう。古い事務用キャビネットを、紙モノや細々した手芸用品の収納に転用するのもいいですね。この様式には何の制約もないのですから、どうぞご自由に。

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個人的には、もう少し理科室風味を増量したいところですが、そうなると、結局ヴンダー趣味と変わらなくなってしまうので、これはこれでいいのでしょう。そこで生活することを考えれば、スッキリしている方が便利で快適には違いありません。


【付記】 画像をそのまま貼り付けたら、著作権侵害で怒られるんじゃないかと思いましたが、よく見たらオリジナルの記事も「Photos courtesy of Pinterest」と堂々と書いているので、負けじと貼っておきます。(アメリカはこういうことにやかましいと思ったら、意外に緩いところもあるんですね。)